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技量管理の難しさ 工事の品質管理は難しい--現場監督の力量

化学プラントでは、新設、改造、定期点検が常に行われて行く
高温、高圧の設備もある。毒性ガスの設備もある。漏れれば危険な物を沢山取り扱っている
工事や点検は社員自らやるわけではない。工事施工会社などに頼むわけだ
大手工事業者に頼めば安心かというとそうとは限らない 現場で作業する作業員の技量がしっかりと管理されていなければ事故が起こる
今から数十年前は,ベテランの監督や技能者が沢山いた。建設や改造工事を沢山経験した人達がいたからだ
2007年度問題というのが過去にあった。団塊の世代という経験豊かな人達が大量に辞めていった問題だ
当時、日本政府は、再雇用という制度を作って退職時期を5年引き延ばした。つまり、2012年頃までは腕のいい職人は確保できた
何も言わなくても、工事の品質が確保されていたのは2010年代までだろうhttps://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2019/honbun_pdf/pdf/honbun_01_03_01.pdf
つまり、監督などがしっかりしていなくても末端で働く労働者の質が平均的にかなり高く,めったなことではトラブルは起きなかったからだ
ところが,昨今はそうはいかない。監督者も経験不足。現場の作業者も技量のバラツキが大きいという現実がある
現場の質が落ちたというより、現場作業者のバラツキが大きくなったと理解する方が正しい
監督者もたたき上げと言うより、頭でっかちの監督者が増えてきている。経験は無いのに,立場は監督者という構図だ
では,仕事を発注する側の立場で考えると、どう工事の品質を確保するかだ
溶接技量などは、技量検定資格などもあり,ある程度能力は見抜ける。実技試験もあるから、できばえも評価できる
ところが監督という職業は、技量検定という制度は定着していない 部下の目に見えない技量も管理しなければいけないからだ
とにかく、現場監督の力量で工事の質は決まる 優秀な現場監督が確保できる企業を選ぶことだ
企業規模ではない、人に技術有りだからだ。企業評価をするときには書面だけでは駄目だ。キーマンとなる監督者層と話す機会を作れ
その上で,発注先の能力を評価して欲しい。現場監督の力量でかなり安全や工事の質は変わってくる
現場で先頭に立つ,監督者層の力量を見て欲しい
仕事というものは発注したら終わりではない。きちんと100%の要求事項を満足してくれるかだ
1%でも欠けていれば後で何かまずいことが起こることになる。有能な現場監督のいる企業を選択することだ
そうはいっても、そう簡単に発注先を変えられないことのもどかしさもある

 

2026年01月15日

ベーパーロック現象 HAZOP 流れ無し

ベーパーロック現象というのを知っていますか
液体の一部が気化して体積が膨張することで、配管内で流れなくなる現象だ
加熱炉などで被加熱流体配管内で起きると事故につながる現象だ
被加熱流体の中に水分が入っていると、温度が上昇すれば水分は水蒸気になり体積が膨張する
液体の水分が、気体である蒸気になると体積は1700倍くらいになるという
そうなると、この水蒸気が邪魔をして、被加熱流体そのものが流れなくなってしまう
これをベーパーロック現象という。蒸気(ベーパー)の発生で管路内が閉塞(ロック)してしまう現象だ
被加熱流体の管路内で流れが止まると、バーナーの熱で管路は部分的に温度が上がりすぎてしまう
金属は温度が上がりすぎると、耐えられなくなりどこかが破断して被加熱流体が漏れ出す
被加熱流体が可燃性であれば、加熱炉内などのバーナーの炎で着火して炉内火災を起こす
1978年6月15日に製油所の加熱炉でこのベーパーロック現象が起きている
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00063.pdf
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00063_s.pdf
学習用ビデオ教材もある
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/weblearning/materials/movies/00063_A-131.mp4
事故の発端は、加熱炉の被加熱流体に含まれる水分管理を怠ったことだ
次は、ベーパーロック現象で流れが悪くなり、被加熱流体出口側の温度が下がっていたのに、異常と思わずなにもしなかったことだ
更に、本来各流路には、早期に異常を気づけるように流路毎に流量計をつけておくべきなのに設置していなかったことだ
HAZOPで加熱炉の検討をするときに、案外このベーパーロックという現象を見逃してしまう
ベーパーロックが起これば、「流れ無し」というズレが起こる
液が流れていないのに、バーナーで炊きあげれば、管路の温度が異常にあがる
管路が破断して炉内火災を起こすという、ハザードシナリオが描けるかだ
流路内に沸点の低い物が混ざり込むとこのベーパーロック現象が起こる
ベーパーロック現象にも関心を持って欲しい

2026年01月10日

長期の休み明けで事故が起こることがある

今から10年前の2014年1月9日に三重県四日市で起こった熱交換器の爆発事故を覚えていますか
爆発により多くの人が死亡した事故です。事故の報告書があるので一度読んでみてほしい
https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2014/14-0612.html
この事故は、多くの教訓を与えてくれています。
年末から年始にかけて長時間窒素でパージしていれば安全と考えていたことが事故につながりました
事故を起こした熱交換器に残っていた物質は「乾燥させると危険な状態になる」物質だったからです
「ドライ窒素」のようなの乾燥した気体では爆発感度がものすごく上がることが事故報告書にも記載されています
「乾燥した、窒素」でパージしたことが結果として事故の被害を大きくしました。
窒素でパージすれば安全という、思い込みが事故につながったのです
乾燥させると危険な物質も世の中には沢山あると考えて下さい
年末から正月明けにかけて、「長期間窒素でパージ」して乾燥させたことが事故につながったのです
長期の休み明けで、安全だということを確認する方法を明確にしておいてください
これから気温もどんどん下がっていきます
スチームトレースの効きが悪いところは無いか。スチームトラップが吹いていないところは無いか
保温カバーに損傷は無いか。きちんと点検してみてください
休み明けで起こる事故も多いからです 現場もしっかりパトロールしてみてください
休み明けの現場確認をしっかりやってください

 

2026年01月05日

事故データーベースの棚卸し-- 埋もれている情報も紹介

私のブログでは、公開されている事故事例データーベースを毎年紹介している。最新版はここを見て欲しい
https://handa.jpn.org/1/posts/post998.html
今年1年の間でも、消えてしまった事故事例もある。東燃石油のOBが運用していた事故事例だ。
個人が公開していたので、事故の企業名まで書いてあった。もう今は見ることが出来ないが、ここに情報があった
Deyamaさんの提供する事故事例データーベース http://deyama.a.la9.jp/ver_1/saigai.html
年末こんな事故データーを見つけた。茨城県が公開している事故情報だ 2017年から2023年までの各年度ごとに事故情報がある
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/shobo/sangyo/info/sangyohoan/documents/2023.pdf
83/99ページには過去茨城県で起きた重大事故の情報が記載されている。参考になる
他の年度の茨城県の事故情報を見たいなら、URLの末尾の数字のみを変えて検索してみれば出てくる 例えば2022年度ならこうだ
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/shobo/sangyo/info/sangyohoan/documents/2022.pdf
消防など、官公庁で行われる安全会議などで、使われた情報が公開されていることがある
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/post-146.html
 石油コンビナート等防災体制検討会 第2回 令和6年3月22日(金)の情報だ 資料の2-3だ
爆発事故の要因を「設計面」から解析した情報だ
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-146/02/gaiyouhyou.pdf
https://www.fdma.go.jp/singi_kento/kento/items/post-146/02/syousaihyou.pdf
国が高圧ガス保安協会などに委託して、事故情報をまとめさせたものもある
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/76034/2015_houkokusho_zenbun.pdf
https://www.pref.kanagawa.jp/documents/76034/2021_houkokusho_all.pdf
企業が公表している、CSR(RC)などの報告書に、事故の情報が公開されていることもある 4/20頁を見て欲しい
https://csr-toshokan.net/ln_book/denka-2014/download.pdf
これからも、機会があれば埋もれている事故などの提供を提供していきたい

 

2025年12月30日

今年一年の重大事故を振り返って リスクの深掘りが必要だ

2025年を振り返ってみる。
2月10日 韓国の油槽所で起きた事故だが、静電気によると思われる爆発死亡事故が起きている。マンホールでサンプリング中の事故だ。
油種は、アルコールだ。アルコールは導電性が有り、静電気は溜まりにくいと言うが事故が起きたと言うことだ。
タンクの窒素シールは、無かったという。窒素シールの要否についても、考えさせる事故でもある。
https://tank-accident.blogspot.com/2025/02/2.html
5月17日 大阪堺にある製油所で硫化水素が漏れ死亡事故 定修中の漏洩事故だ 事故調査委員会は立ち上げられたそうだ
https://www.eneos.co.jp/information/20250517_01_01_0944355.pdf
http://www.daiankyo.or.jp/co_11/jiko_jouhou_20250520.pdf
5月23日 姫路にある化学工場で定修中に現場分析室内で社員が酸欠死亡事故
定修時、計装空気が窒素に切り替わっていて起きた事故だ。窒素に切り替えると言うことは、案外知られていないのだろう
https://www.daicel.com/news/2025/20250524_1117.html
5月29日 大学の研究室で薬品を廃棄していたところ臭素と苛性ソーダの混触で爆発 女子学生が怪我をしている
https://news.livedoor.com/article/detail/28852456/
7月9日 化学工場で操作ミスで高濃度のガスが流れ排気用脱臭装置の爆発 この企業では数年毎に事故が起きている
https://www.shin-nakamura.com/wp/wp-content/uploads/2025/07/wakayamakouzyouzikoowabi20250715.pdf
7月27日 化学工場で塩素ガスが漏れ住民多数気分が悪くなる 消防への通報が早ければ、かなりの被害は防げたはずだ
原因の調査を優先させて、通報が遅れ被害が拡大した事故は数多い。特にガス漏れは5分10分で工場の外にガスが出ると思え
https://jp.mitsuichemicals.com/content/dam/mitsuichemicals/sites/mci/documents/release/2025/250903_1_2.pdf
8月7日 化学工場でNF3プラントで本来流さない配管にガスを流し、そこに設置されていた弁のテフロンパッキンが燃焼し爆発死亡事故
支燃性ガスの事故だ テフロンが存在すれば、激しく燃えるのは当然だ 誤操作防止の配慮が設計段階で必要だ
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01440/0c2a0ecc/f3cb/4370/af2b/f6d2fd1bac78/140120250912557066.pdf
10月20日 大学の低温培養室で計画停電対応のため室内にドライアイスを置いたが、それを知らない学生が室内に入り死亡
    5月にも混触爆発事故を起こしていたが、今度は死亡事故にもなった事故だ
https://www.asahi.com/articles/ASTBX2RSZTBXOXIE017M.html?iref=pc_national_$PAGE_TYPE_EN_list_n
12月も12/23日に大学の研究室で爆発事故が起きている https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/2365002?display=1 
事故の連鎖は相変わらず停まらない ヒューマンエラーの連鎖だ まだまだリスクの深掘りができていないと言うことかも知れない

 


2025年12月25日
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