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調節弁の内弁サイズ変更管理の失敗事例

変更管理の失敗は、色々な分野で起こる。原材料の変更、運転条件の変更など様々だ
今回計装分野で起きた変更管理の失敗事例を紹介する
1974/8/8に鹿島のコンビナートで起きた事故だ
調節弁と言うのは,流量や圧力を制御する弁だ
順調に制御できているときはいいのだが、圧力損失が極端に大きかったりすると異常振動を起こすことがある
いわゆる差圧が変わると問題を起こすのだ
この事故は、弁のサイズアップという変更管理の失敗事故でもある
調節弁の異常振動事故だ
弁の入り口と出口のΔP(差圧)が1Mpaもある高差圧弁だ
配管中のコントロールバルブ(調節弁)の処理能力を大きくするため,その内弁の大きさを5Bから6Bへ変更した
その結果、コントロールバルブが異常振動をおこしたのだ
バルブ内弁サイズアップによる振動発生とそれによる周辺亀裂・緩みが生じてしまった
ノズル付根部分にクラック(割れ)が入り,炭酸カリ溶液10Lが霧状に漏洩したという事故だ
内弁のサイズを変更したことにより、バルブの流量特性が変化し,ハンチングをおこしたからだ
原因は弁の開閉を操作する空気シリンダーの推力不足
空気シリンダーを動かす空気の圧力が不足していて、十分な推力のある空気シリンダーとなっていなかったのだ
事故後、空気シリンダーを動かす空気の圧力を0.24→0.28MPaにあげたという
内弁を変えたら,内弁を制御する空気シリンダの推力も十分検証しなければならない
単純に内弁を変えただけでOKと思い込んだのだろう
何かを変更したら必ず現場を見てまわることだ
かなりの異常振動が起こっていたはずだ。現場を見ていれば防げた事故だ。
酸化エチレンというとんでもない爆発力を持つプラントの事故だ 一つ間違えば鹿島のコンビナートも吹っ飛ぶ爆発力がある
大事故にもなったかも知れない異常振動事故だ
計装設備である調節弁を何か変更するならしっかりと変更管理を行って欲しい
弁サイズを変えたら、エアーシリンダのサイズ変更も必要だと考えて欲しい

 

2025年11月10日

フレコンバッグで起こる労働災害事故

フレコンバックと呼ばれる袋が保管や輸送用に多く使われている。
原料や製品などの粉や粒状製品を入れる袋だ。
重さは、軽い物で数百キロ。1トンくらいの重い物もある。
何段かに積み上げて、保管することがあるが、崩れて人が挟まれる事故が多発している。
何百キロもの重みがあるのだから、人にのしかかってきたら死亡することもある。
厚生労働省の職場の安全サイトという災害事例を紹介するホームページでこんな災害が紹介されている。
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=101193
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=101103
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/sai_det.aspx?joho_no=1047
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/sai_det.aspx?joho_no=100883
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/sai_det.aspx?joho_no=100676
これ以外にも、繰り返しフレコンバッグが崩れてきて災害になる事例が報告されている。
フレコンバックなどを取り扱うところではこの種の災害をしっかりと防止して欲しい。
フレコンが崩れて死ぬこともあることを知らない人が多いからだ。
それから、フレコンという袋に穴が開いたら、安易に補修したり破損した穴の近くに寄らないで欲しい
袋の中身が少しでも出てしまうと、バランスをくずしたフレコンが崩れてくるからだ。
穴が開いたフレコンは、人ではなくフォークリフトを使って安全なところにすぐに移動して事故防止を図って欲しい
放置すれば会社側が、刑事責任を問われることもあるからだ
https://www.rodo.co.jp/column/111466/
この種のフレコン事故は繰り返し起こっている
https://aisyousetu.com/entry/genmai-furecon-shitajiki-jiko-hokkaido-yunityou

 

2025年10月31日

繰り返す スレート屋根から転落する事故

スレートの屋根にのり作業中人が転落する事故事例は多い
頻繁に起こっているのだが、新聞やネットニュースでも取り上げられることは少ない
先日珍しくニュースにスレートの転落記事が出ていた
死亡事故にもなったから、取り上げられたのだろう
https://news.yahoo.co.jp/articles/51b8b3af206ade599c1a47b26bc88e8bdc0493f5
古くなったスレートは強度が弱くなる。人が乗っただけでも割れることがある
私もまだ会社に勤めているとき、何回かスレートから落ちる事故を知ったことがある
10m位の高さのスレートから作業員が落ちた事故だ
死亡事故になってもおかしくない事故だが、助かった
原因は、途中で配管に引っかかり転落していたので衝撃が和らいだのだ
しかし、肋骨を何本も折り半年くらい治療にかかったという
スレートの事故が起こるたびに通達はでる。しかし、この情報はなかなか現場までは届かない
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/library/ibaraki-roudoukyoku/corner_kantoku/mito/pressrelease/h260530_slate.pdf
こんないい資料もある
https://rousaigojyokai.or.jp/rg/wp-content/uploads/anken2018.pdf
この中には、スレートの踏み抜きだけではなく、明かり取り窓の転落事故の情報も記載されている
参考になる資料だ
スレートの強度を甘く見ないで欲しい
仕事を発注した側も、このリスクをきちんと協力会社側に伝えて欲しい
発注社側にも安全配慮義務がある
過去のスレート転落事故事例に学んで欲しい。

 

2025年10月26日

繰り返す タンクに直接溶接して爆発する事故

タンクに直接火を当てて、火気工事をしていた工事業者が爆発で死亡する事故は繰り返し起こっている
だいたい10年に一度どこかで、起こる事故だ
https://anzendaiichi.blog.shinobi.jp/%E4%BA%8B%E4%BE%8B%EF%BC%88%E7%88%86%E7%99%BA%EF%BC%9B%E3%82%AC%E3%82%B9%E7%88%86%E7%99%BA%EF%BC%89/2018%E5%B9%B49%E6%9C%886%E6%97%A5%E3%80%80%E8%8C%A8%E5%9F%8E%E7%9C%8C%E7%A5%9E%E6%A0%96%E5%B8%82%E3%81%AE%E6%A8%B9%E8%84%82%E8%A3%BD%E9%80%A0%E5%B7%A5%E5%A0%B4%E3%81%A7%E3%83%91%E3%83%A9
全て報道されるわけではないから、知られないのだ。たとえ報道があっても、事故の原因はその後報道されることはほとんど無い。
過去起きている同様な事故から、こんなことがわかっている。
外部での火気工事でも、溶接などの温度は1000度近くもある。
その熱は、当然薄い鉄板を伝わって内部に温度は伝わる。
鉄板の厚さは数ミリで、金属であるから熱伝導性も良い。タンク内部側は数百度の温度になってしまう。
数百度という温度は、たいていの可燃物であれば発火点を越えてくる。
つまり、タンクの鉄板の内側に油かすや残渣などが付着していることが多いからその可燃物が暖められることになる。
暖めれば、当然可燃性のガスを発生する。廻りには、空気が存在するからガスの量が徐々に増えていき爆発混合気ができてしまう。
タンク内を換気していなければ、当然爆発混合気ができる
鉄板の内側は数百度もあるのだから当然着火して、爆発という現象が起こることになる。
今回の事故は、液を入れたままだったのか、抜いていたのかはわからない。
液を入れたままであれば、当然可燃性蒸気は存在していたはずだ。
強制換気をして、爆発混合気ができないようにしておかなければ今回のような事故になる。
たとえ液を抜いていたとしても、天板や側板の裏側には何らかの油かすなどが付着している。
その部分を外側から、火気工事などで暖めれば、やはり可燃性ガスは出てくる。
たとえ液を抜いていても、強制換気をして爆発混合気ができないようにしておくことだ。
できれば窒素でシールをして、本質安全対策を行って欲しい。
タンクの外側の工事だからと言って安心するなだ。同様の事故は繰り返し起きている。
私の講演や講義でこの話は繰り返し話している。
https://handa.jpn.org/1/schedule.html
過去の事故事例に学んで欲しい。

 

2025年10月20日

停電が引き金の爆発死亡事故

今から半世紀前の事故だ。停電が引きがねで4人が死亡した事故がある
1973年10月8日 千葉県で市原市で起きた事故だ
配管が良く詰まる製造設備だった。年中配管掃除をする手間のかかる設備だった
あるとき配管清掃中爆発が起きた事故だ
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000146.html
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00265.pdf
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00265_s.pdf
裁判での争点になった記録も残っている
https://www.zenkiren.com/Portals/0/html/jinji/hannrei/shoshi/10591.html
プロピレンというポリマー設備だ。配管が詰まるため、年中運転中に配管清掃していた
運転中に配管を外すのだから、当然安全対策は必要となる
インターロックが設置されていた。運転中事故が起きないようにだ
ところが、年中配管を清掃していたことからマンネリ化が起きていた
この日は、インターロックを解錠していた。つまり安全装置が、効かない状態にして配管清掃をしていたのだ
運の悪いことに、停電が起き暗くなった。暗かったことから、本来とは違う設備に触ってしまった
結果として、運転している反応器の底部から大量の可燃物が漏れてしまった
数百メーター離れた非防爆の電気リレーの火花で可燃性ガスが着火したという
停電が引き金だが、安全インターロックをバイパスしていたなど多くのミスが大事故につながった
過去の事故事例の中に、停電が引き金事例は多い。停電を甘く見ないで欲しい
この事故は、インターロックが解除されていたことも重要な事故の本質だ
簡単に解除されてしまっては、何のためのインターロックだと言うことになる
もう一つ、事故の本質に関わることがある
詰まりやすいプロセスだったと言うことだ。詰まり易いプロセスは、どうしても人に負担がかかる
結果としてこのような事故も起きてしまう。詰まりやすいというのも、事故のリスクと考えて欲しい

 

2025年10月17日
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