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8月に起こった爆発死亡事故の報告書が企業から出ていた

2025/8/7に起こったNF3という支燃性ガスの爆発事故がある
https://www.youtube.com/watch?v=WOlfkffCbus
フッ素系のNF3というガスによる爆発だ。支燃性のガスで物を激しく燃やす性質がある
このガスは過去にも他の工場で事故を起こしておりこんな情報もある
http://www.daiankyo.or.jp/co_11/jiko_jouhou_202508072.pdf
今回企業から事故原因についての資料が出ていたので紹介する
https://www.nikkei.com/markets/ir/irftp/data/tdnr/tdnetg3/20250912/fiuofe/140120250912557066.pdf
原因に付いて書かれた部分を抜き出すとこうだ
三フッ化窒素の純度を製品レベルにまで精製した後、製品容器に充填するために圧力を高める工程におい
て、高圧で保持されるべき貯槽内の三フッ化窒素が、規定されていない手動バルブの開閉操作により、貯槽
に付随する配管内へ流入いたしました。その結果、低温・高圧の状態で配管内に流入した三フッ化窒素ガス
が温度上昇により膨張し、支燃性の強い三フッ化窒素の高速な流れがバルブ内に発生いたしました。これに
より、バルブを形成する樹脂部材が燃焼し、この燃焼が起点となり、爆発的に配管の破損に至りました。
同様な状況が生じないよう、設備運用方法を見直すことを再発防止策といたします。
以上の文書なのだが、これではさっぱり原因がわからない。過去の事故事例などを含めて考察すると、このような原因だろうと推察される
高圧コンプレッサ周りの、バルブを誤って開けた(開けてはいけないバルブだったのだろう-なぜ、施錠してなかったのだろう)
NFというガスが、本来流れない配管に流れ込んだ。高圧のガスだったので、配管内で断熱圧縮現象が起きた
断熱圧縮現象が起きると、ガスは高温になる。ガスが流れ込んだ配管には、テフロンを一部に使った弁があった。テフロンは可燃物だ。
断熱圧縮現象により、テフロンの発火点を越えテフロンが燃え始め、燃焼を助長するガスだったので激しく燃え爆発した
というのが、原因ではないだろうか
2001/4/23に圧縮機内のプラスチック弁が燃えた事故との類似事故だ
https://www.shippai.org/fkd/cf/CB0012016.html

 

2025年09月15日

事故データーベースの紹介

過去の事故事例を学ぶことは重要だ。今まで、こんな事故事例データーベースを見て事故の教訓を集めてきた。紹介しておく
最近消防関係の事故DBを見つけたのでこれも紹介しておく
⓪消防関係事故データーベース R6年~H29年までの数千件の情報が書かれている
https://www.fdma.go.jp/publication/database/post.html
①高圧ガス保安協会事故事例データーベース https://www.khk.or.jp/public_information/incident_investigation/hpg_incident/incident_db.html
https://www.khk.or.jp/public_information/incident_investigation/hpg_incident/recent_hpg_incident.html
②産総研が提供する事故データーベース RISCAD https://riss.aist.go.jp/sanpo/riscad/ (現在リニューアル中 閲覧停止中)
③Deyamaの提供する事故事例データーベース http://deyama.a.la9.jp/ver_1/saigai.html
④失敗知識データーベ-ス http://www.shippai.org/fkd/index.php
⑤労働安全衛生総合研究所事故データーベースだ。数千件の事故情報がある
https://www.jniosh.johas.go.jp/publication/houkoku/houkoku_2020_05.html
⑥神奈川県では高圧ガスに関係する事故情報を下記のURLで公開している
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/a2p/cnt/f5050/p14873.html
個別の事故に関する物も公開されている 高圧ガス事故事例情報シートというのがある
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/a2p/cnt/f5050/p14877.html
⑦神奈川県環境科学センター事故データーベース https://www.pref.kanagawa.jp/documents/2302/kagakubushitujiko.pdf
⑧早稲田大学と共同で特定非営利活動法人災害情報センターが運営しているデータベースで略称はADICというものがある。
http://www.adic.waseda.ac.jp/adicdb/adicdb2.php
⑨富山県高圧ガス安全協会 http://www6.nsk.ne.jp/toyama-kak/1hoanjoho/index.html
⑩宮城県過去の主な災害事例 https://www.pref.miyagi.jp/documents/26200/shiryouhen11.pdf
事故というのは、色々な視点で見ていかないと事故の教訓が得られない データーベース提供者には感謝したい
これらの情報が無ければ、過去の事例を学ぶのは難しいからだ。これからも、提供をお願いしたい

 

2025年09月10日

化学工場のガス漏れ事故の調査報告書を企業が公開

8月初旬九州の大牟田で起きた化学工場の塩素ガス漏れに関する企業の調査報告書が公開されていた
https://jp.mitsuichemicals.com/content/dam/mitsuichemicals/sites/mci/documents/release/2025/250903_1_2.pdf
https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20250903/5010029744.html
https://www.youtube.com/watch?v=TDhW6jtSFFo
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E7%A6%8F%E5%B2%A1-%E5%A4%A7%E7%89%9F%E7%94%B0%E3%81%AE%E3%82%AC%E3%82%B9%E6%BC%8F%E3%82%8C%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AF-%E9%85%8D%E7%AE%A1%E3%81%AE%E7%A9%B4-%E4%B8%89%E4%BA%95%E5%8C%96%E5%AD%A6%E3%81%8C%E4%BA%8B%E6%95%85%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8/ar-AA1LMfi4?ocid=msedgdhp&pc=U531&cvid=68b8d8f38bc845febbd75db6728f8928&ei=9
この事故は、塩素が漏れて工場の外にガスが流れて、住民被害が多数出た事故だ。通報遅れが問題となった事故でもある。
調査報告書は、概要が書かれているだけなので細かなところはわからないが、このようなことが書いてある
塩素ガスが流れているステンレスの配管があった。配管内のガスを冷却するため、外側に冷却水を流す2重配管だ
ジャケット配管のようなものだ。配管が塩素で応力腐食割れを起こし、外側の冷却水がガス側に流れ込んだという
塩素ガスと水が混ざると塩酸になる。漏れた下流側の配管は、ステンレスではなく鉄製配管だった
鉄は塩酸に弱いので、時間が経つにつれ穴が開きそこから塩素ガスが漏れてしまったのだ--報告書にイラスト有り
通報遅れの部分は、かなり簡略化して書かれているので、記者会見上布などで補足するとこうだろう
消防へ連絡するのは、事故プラントの責任者ではない。休日、夜間は当直者と呼ばれる人から、消防などへ連絡するようになっている
当直者と、事故プラント側との連絡がうまくいかず、当直者から消防へすぐに連絡が行かなかったとしている
ガス漏れを検知すると自動的に当直者に連絡するシステムはあった。しかし、製造側が手動にして警報が鳴らないようにしていた
製造は、警報は誤報と思い、自動にしておらず手動だった。結果として、当直者にはすぐにガス漏れ警報は届かなかった
通報用マニュアルも、行政への通報の判断基準があいまいだった書き方をしている。今後マニュアルは改訂するという。
この事故のポイントは、平日の昼間ではなく日曜日の夕方だということだ
休日で、工場には安全の専門担当者はいない。代理者として、当直者がいるのだが、安全のプロではない
工場の管理職クラスではあろうが、消防などに通報などはしたことが無い人達だ。事故プラントとのやりとりで精一杯だったのだろう
それが結果として通報遅れにつながったのだろう。休日夜間の事故通報について考えさせられる事故事例だ
もう少し詳細な対策資料を出してくれれば、他社さんにも役に立つのだろうが残念だ。とはいえ情報を公開してくれただけでもありがたい
8/4の私のブログにも通報遅れの現状について書いてあるので参考にされたい

 

2025年09月05日

川崎市の公開されている情報--地震対策事例や危険物事故事例を紹介

化学工場などでは、地震にどう備えるかは関心があるはずだ。色々な企業が地震対策を進めているはずだ
川崎にはコンビナートがある。底では、色々な検討が行われている
川崎地区の企業が集まって安全活動をしている組織がある
川崎市危険物等保安審議会と言う組織だ。そこでは、色々な安全に関する情報を公開しているので紹介する
川崎市がコンビナート内の企業の地震対策に関するいい情報を公開している。
https://www.city.kawasaki.jp/bousai/category/291-2-2-1-0-0-0-0-0-0.html
ホームページの下の方に、PDF版の資料がある。。実際に企業が行っている地震対策が写真入りで、紹介されている。
球形タンクの柱の強化や、液状化対策、通信方法の強化など実に役立つ情報がある。企業の安全担当者は1度見て見てはどうか。地震対策のいい参考情報だ
川崎市危険物等保安審議会のホームページを見て欲しい。
https://www.city.kawasaki.jp/bousai/category/291-2-2-5-0-0-0-0-0-0.html
ここにも教育資料など参考となる情報が公開されている
危険物施設の点検要領が写真などで示されているいい資料だ
https://www.city.kawasaki.jp/840/page/0000175814.html
火気使用時の安全対策に関する情報もある
https://www.city.kawasaki.jp/840/page/0000064922.html
危険物事故の教育資料もある
https://www.city.kawasaki.jp/840/page/0000064922.html
化学工場の安全スタッフなどには役に立つ情報も多い。参考にされたい

 

2025年08月30日

小口径配管が引き起こす事故

製油所や化学工場では沢山の配管が存在する。太い配管は、漏洩などがおきればリスクが高いのでしっかりと点検や整備が行われる
ところが、口径の小さな配管は案外おろそかにされる。そこで多くの事故が起こっている
小口径配管という用語がある。配管サイズが1B未満の配管だ。ミリサイズで表現すると、直径25mm以下の小さな配管だ
計装設備の配管はこの小口径配管だ。ポンプ廻りの、エアー抜き配管やドレン配管も、この小口径配管だ
ポンプであれば当然振動もある。この小口径配管のサポートをしっかり取っていなければ、振動で折れることもある
小口径配管というのは、ネジ接続が多く使われる。ネジは、強度的に弱いのだがコスト的に安いのでこのネジが使われる
ネジ接続は、長期間振動が加わるとネジ部が破損する事故事例が多い。こんな事故事例がある
ポンプのエアー抜き配管が振動で折れ油が噴き出した小口径配管の事故だ
https://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200032.html
小口径配管は、口径にかかわらずきちんと配管サポートを取るべきなのにサポートはしっかり取られていない
結果として、長期間の振動でネジ部が外れたり折れたりして液の漏洩により事故が繰り返し起こっている
配管サポートは口径の大小にかかわらず必要だ
たかがサポートと思わないで欲しい エアー抜き弁だけではなく、ドレン弁の振動で配管折損事故も多い
ポンプや圧縮機などは目には見えなくても機械は微妙に振動している
振動が繰り返せば一番弱いところが壊れる
たいていはネジで接続した部分だ ネジは折れやすいからだ
振動だけでは無く、腐食事故もある
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000028.html
一度自分のプラントを「小口径配管」という切り口で点検して欲しい。特にネジ接続であるところは早急に補強して欲しい
ネジ部周りをシール溶接して強度を増すことだ
小口径配管を甘く見ないで欲しい。長期間振動がつずけば、堅い金属は必ず破損する
振動のある小口径配管の対策を行って欲しい

 

2025年08月25日
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