事故や災害に思う

化学物質の反応が原因で事故が起こると言うことは、化学産業に勤める人は「おぼろげながら」知っているはずだ。「おぼろげながら」と言ったのは、実際に事故を経験した人はそれほど多くはいないからそう言ったのだ。つまり。多くの人は化学会社に勤めていても事故に遭うことは皆無だからだ。
私は、40年間勤務して爆発を一回、破裂を一回しか経験したことはない。工場勤務が多かったので、事故に遭遇し得たのかもしれないので、工場勤めでなければたとえ化学会社に勤めていても事故に遭うことはないだろう。
私の知っている書籍で、「反応危険性-事故事例と解析」(発行所 施策研究センター)と言うのがある。物質名を切り口に事故事例を書いた書籍だ。
この本を読んでわかるのが、化学反応の事故は基本的に発熱反応を制御できなかったと言うのが本質的な原因と読み取れる。
いつも私の講演や講義で、反応熱に対して冷却能力は何倍の安全率を取って設計しているか検証してみて欲しいと言っている。自分が運転している装置に関して、発熱と冷却能力を安全率という切り口で考えて欲しいのだ。
熱量に関しては、発熱量に対して冷却能力と比較して安全率という切り口で企業は余り検証していない。機械工学の世界では、強度に対して安全率は3と定め、JISなどに基準が示されている。しかし、化学工学の世界では発熱と冷却という切り口で明確に安全率に関する指標はないというのが実感だ。
そこに、化学物質の反応に関わる事故の根源があるといつも感じている。

2018年03月18日