酸と金属

今から20年前のことである。勤めている工場で部下から、小トラブルがあったとの報告を受けた。
硫酸を取り扱うタンクの,近くで火気工事をしていたらボンという音がして小爆発があったという。
誰もけがをせず,何事もなかった。
でもそのときは,何があったのか皆目理解できなかった。
それから,20年経過した今は,何があったのかははっきりわかる。
多くの事故事例を経験して、硫酸とタンクという組み合わせであれば,事故のパターンが見えてくるのだ。
硫酸は酸性物質だ。酸性物質は,鉄などの金属と反応して水素という物質を発生する。
つまり、20年前の出来事は発生していた水素に火が着き小爆発が起こったのだ。
硫酸などの酸性物質は常に金属と触れると水素が発生すると考えて欲しい。
硫酸の分子式の中に、H2という水素分子がある。薄められた硫酸水の水にもH2というのがある。
このHが分離して水素が発生すると思って欲しい。
硫酸と言っても,濃硫酸のような濃度の高いものもある。水で希釈した,硫酸もある。
水素は,濃度の高い濃硫酸では発生することはない。水などで希釈された濃度の低い硫酸で発生する。
濃度の違いで,事故の確率は違う。
しかし,濃度の低い硫酸はそこら中で使われているはずだ。
硫酸を扱っていれば,水素が発生すると思って欲しい。
水素は,とんでもない爆発力がある。
http://www.adic.waseda.ac.jp/adicdb/
adicdb2.php?q=%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%80%80%E7%A1%AB%E9%85%B8+%E6%B0%B4%E7%B4%A0
あらから,20年多くの事故事例を学んで硫酸が起こす事故事例が身近なものとしてとらえるようになった。
酸は金属と触れると水素を発生すると思って欲しい。水素の持つエネルギーを甘く見ないで欲しい。
東北大震災の時原発の建屋を吹き飛ばしのも水素の爆発だ。

2018年11月12日