保温材にしみ込んだ油の自然発火

冬になると火災が増える.乾燥して火がつきやすくなるからだ。
化学工場でもこの時期火災には注意が必要だ。
保温材に油がしみ込んで着火し、火災になる事例をご存じだろうか。
保温をした配管の板金などが黒ずんで、油が内部にしみ込んだ形跡があるなら要注意だ。
通常の配管板金なら、汚れや染みなどは無いはずだ。
板金の表面に黒ずんだ油の跡などがあれば、油が保温材の内部にしみ込んだ可能性がある。
しみ込んだ油は、時間の経過とともに周辺の空気で酸化されていく。
酸化されると、酸化熱という熱を発生するので油のしみ込んだ箇所は温度が上がっていく。
更に、油は酸化されると通常の発火点より低い温度で発火するようになる。
例えば通常なら300度位の発火点の油でも、その1/2から2/3程度の低い温度で発火するようになる。
つまり、150~200度程度で自然発火する状態になる。
保温を実施しているところでは、蒸気などで暖めていることも多いので、その蒸気の温度で発火することになる。
SDSなどに書かれている発火点が高いから大丈夫だと思わないで欲しい。
それは、新品の時の話だ。劣化したり、酸化されれば発火点はどんどん下がってくる。
保温材の中は、空気も沢山ある。つまり、燃焼の3要素が成り立つ条件がそろっている。
油という燃える物があり、支燃性ガスである空気が存在する。
発火点は下がっているのだから、酸化された油は自然発火することになる。
工場内で多くの現場で起こっているが、小火程度であれば公開されることは少ないので案外この現象は知られていないというのが実情だ。
以下に公開されている、保温材に油がしみ込んだ事例を紹介しておく。
http://www.japc.co.jp/news/press/2002/pdf/141220a.pdf
http://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00452.pdf
http://www.shippai.org/fkd/cf/CB0012011.html
保温材の中に油がしみ込むと、火災になると思って欲しい。
現場をパトロールしたときに、配管などの保温材に油の染みがあったら、早めに保温材をはぐって点検して欲しい。
保温材の内部に油がしみ込んでいたらすぐに、撤去して新品にやり替えて欲しい。

2018年12月15日