労働災害から読み取れること

来年1月に講演する労働災害の教材を作っている。今までの講義では、労働災害の種類毎に、災害事例と教訓を話していた。
今回は、業種別に労働災害をひもといていくことにした。
研究開発部門、工場などの製造部門、工事部門、物流部門などに分けてみた。
研究部門なら、ガラス器具などの切れ・こすれという災害が多い。
とはいえ、試薬や実験などに危険なガスも使うのだから、物質危険性に関わる労働災害にも着目しておく必要がある。
製造部門は、やはり機械を使う関係上挟まれや巻きこまれという労働災害が多い。
挟まれ巻きこまれは、死亡事故にもなる、重大災害だ。
工事部門となると、墜落災害などが増えてくる。
屋内などで発電機を使っていて酸欠になることなども落としてはならない災害だ。
夏になれば、熱中症など屋外での作業も増えてくる。
物流部門は、輸送中の車両事故だ。屋内であれば、フォークリフトという車両による交通事故が多い。
輸送用のベルトコンベアーなど巻き込まれ事故も重大労災になる。
全産業共通で多いのは、転倒労災だ。いわゆる、転ぶという災害だ。
元々、人類の先祖は四つ足で歩いていた。ところが、ある時点から二本足で歩くようになった。
赤ちゃんのころのよちよち歩きを思い出して欲しい。少しバランスを崩せば倒れてしまう。
人は、二本足で歩いていれば、段差など少しでもバランスを崩す物が存在すれば転倒する。
段差や突起物などは作業現場に沢山ある。だから転倒は、全産業共通のNO1の労働災害となる。
災害というのは、色々な切り口で見ていく必要がある。
災害を起こす本質を知っていくには、常に色々な切り口で物を見ることだ。
多様な見方ができると、事故からの教訓も取り出せるようになる。

2018年12月26日