リスクマネージメントの大切さ

リスクという言葉が出てきたのはいつ頃からだろうか。
宇宙や原子力が発達し始めたのは1950年代だ。航空機産業も飛躍的に発達した。
ひとたび事故が起これば、とんでもない影響を及ぼすような時代になってきた。
世界では、事故を防ぐために事前に安全性を評価するシステムが作られ始めた。
日本では1960年代に高度経済成長という時代が来た。ものは作れば飛ぶように売れた。
結果として、大量生産が始まった。
化学企業は、大型の設備を作り始めた。
この結果、1970年代には人が設備についていけなくて事故が多発した。
海外では、イタリアのセベソで大きな事故が起きている。猛毒のダイオキシンが漏れ出した事故だ。
1980年代になると、世界では巨大事故が多発した。
インドのボパールの事故。スイスバーゼルの事故だ。
この時代から、大量に化学物質などが漏れ出すことを食い止めるリスクマネージメントという概念が進展した。
このように海外では、1970-1980 年代に化学プラントで発生した一連の重大事故の調査によって「マネジメントシステム」が多くの事故の根本原因であることが認識されるようになった。
その後、欧米を中心にプロセス安全管理PSM (Process SafetyManagement)の仕組みが導入され、1990 年代に入ってからは、事故の減少傾向がみられる。
この流れは、日本にも当然影響を与えた。
2005年3月には高圧ガス認定制度の法改正を行っている。
高圧ガスの認定事業者制度で、このPSM的な概念の導入を行っている。
保安管理システムの導入を要求している。
この法改正で、危険源の特定が要求されるようになり各企業でHAZOPの導入が進んだ。
事故の未然防止をする仕組みを企業に要求してきている。
2010年頃より学会、エンジニアリング会社や企業のHSE部門から国際的に普及しているプロセス安全管理またはPSM という用語を聞くようになってきた。
そうは言っても、色々なシステムを導入すれば事故を防げるわけではない。
危険源の特定はHAZOPがベストというわけではない。What-if方なども併用するのが良い。
そうは言っても、やはり、過去の事故事例を知らなければ、どんな手法を使おうと危険源を特定すること難しい。
過去の失敗事例をこつこつと学んで欲しい。
リスク評価の難しい所は誰でもそう簡単に危険源の特定ができるわけではないからだ。

2019年02月07日