行き止まり配管

「行き止まり配管」という言葉を知っているだろうか。
HAZOP的には、流れ「無し」がずれのキーワードだ。
流れが無いと安全だと思いがちだが、そうではない。
流れが無い部分は、流速がゼロなのだから汚れや残渣が溜まりやすいという傾向がある。
腐食性の物質が溜まれば、配管に穴が開く。
爆発性の物質が溜まれば、蓄積して高濃度になれば爆発することもある。
「行き止まり配管」という言葉が使われるようになったのは1980年代だ。
1982年3月31日に鹿島にある製油所で爆発が起きた。この事故では5人の命が失われている
安全弁の出口側の配管で爆発が起きている。
安全弁の出口配管は、通常安全弁が作動しない限り流れが無い配管だ。
ところが、出口配管を温度の高い別の配管へ戻す設計をしていたため事故が起きたのだ。
流れが無い配管でも、温度差があると、中の流体はヒートパイプ現象と行って温度の高い方から低い方へ流れ始める。
つまり、配管内で流動が起こるのだ。
この為、鉄でできた安全弁出口側配管に腐食性物質が入り込み穴が開き可燃物の漏洩により爆発したのだ。
http://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00056.pdf
http://www.shippai.org/fkd/cf/CB0057045.html
1989年3月6日には、水島コンビナートにある製油所でやはり行き止まり配管が原因の事故が起きている。
配管改造をした際、流れにくい部分ができてしまったのが原因だ。
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000003.html
改造工事における変更管理の失敗事例でもある。
近年、長期連続運転ができるようになってきている。
スタートアップにしか使わない配管も行き止まり配管だと考えて欲しい。
そんなところに腐食性のスケールが長期間たまっていればやはり突然穴が空いて事故になる。
行き止まり配管がどこにあるのかを把握してしっかりと管理をして欲しい。

2019年02月26日