ベテラン労働者と言うことにだまされるな

先日、事故はなぜ起きるのかという講義を東京で行った。
https://www.e-jemai.jp/seminar/accident_1.html
講義が終わってこんな質問を受けた。
ベテラン社員が、ベルト点検中に巻き込まれたがどう対策をすれば良いかとの質問だ。
ベルトが慣性でまだベルトが動いているのに手を入れたようだ。
経営トップは、この労災をきっかけに安全対策の強化をその企業の安全対策担当に色々なことを指示したそうだ。
たぶん、日本中の企業は何か起こると、やみくもに安全対策の強化を繰り返している。
そんなことで、事故が減るわけがない。
安全担当者は疲弊して疲れ果てるだけだ。
あれもこれも対策を短時間で打てるわけがない。
災害が起きたときにやるべきことは、二度と同じ災害が起きないよう対策を打つことだ。
的を絞ることだ。あれもこれもでの対策では、安全担当者だけではなく現場の人も疲弊してしまう。
同じ災害は起こしませんと、安全担当者が宣言しそこに力を入れることだ。
ベテラン担当者が起こす事故のパターンは、過去の成功体験で安易に判断してしまうがキーワードだ。
たまたまこの前はうまくいったという成功体験がベテランには悪さをするからだ。
ベテラン労働者は、2つの区分に分かれる。
こつこつと、色々なことを経験しながら、なぜを考え、原理原則を大切にしながら育ってきた集団もある。
原理原則と比較しながら、深く考える集団だ。
もう一つの集団は、余り深く物を物を考えず、ただただ言われるままに時間を消費してきた人達だ。
この集団は、深く物は考えない。いわゆる、成功体験に頼るタイプだ。
企業の中で、このメンバーは事故を起こしやすい。
なぜなら、企業は何十年もいればベテランだと安易に考えてしまうからだ。
ベテランになると個人個人の評価が甘くなる。
経験年数が増えるほど、人の評価を深掘りしなければいけないのにその手法を企業も確立していないからだ。
そこに事故が起こる要因がある。

2019年06月24日