ポンプの締切運転が引き起こす事故

2019/11/17のブログで、ポンプの空引き事故の話をした
今回は、ポンプの締切運転の事故事例を紹介する
危険物保安技術協会が、こんな事故事例を報告している
http://www.khk-syoubou.or.jp/pdf/magazine/188/kikenbutsu_jikokanren_info.pdf
事故の概要はこうだ
ポンプの配管ルートを変更した際に、配管内に仕切り板が挿入されているのに気がつかなかった
ポンプを動かし、そのまま運転を続けていたところ、ポンプ内で温度上昇が起こり5時間後にポンプのシール材が焼損し油が漏れだした事故だ
5時間の締切運転でポンプ内の液体温度は、250度くらいまで上昇したようだ
ポンプは、吐出側の弁を閉めて締切運転をしたときに急激に流体の温度が上昇するのをご存じだろうか
昔、エネルギー保存の法則というのを習ったはずだ
通常ポンプに加えられたエネルギー(電力)は、液体を流すのに使われる
電力というエネルギーが、液体を動かす運動エネルギーに変わるわけだ
普通に液が流れていれば、電力は運動エネルギーに変わるので液温があがることはほとんど無い
ところが、ポンプを締切運転のような状態にすると、電力は運動エネルギ-に変換されない
つまり、ポンプ内に閉じ込めた液体の、温度を上げる為の熱エネルギーとしてせっせと加えられた電気エネルギーは消費される
締切運転をすることで、ポンプは電気ヒーターのような役目をしてしまうのだ
5.5KWのポンプで、ポンプ内に閉じ込めた液が10Lであれば1分間に4度あがるという、計算事例もある
時間に比例して温度は上昇する。たとえば、10分ならその10倍の40度になる
ポンプの電力量、効率、液の閉じ込め容積などがわかれば、温度上昇は理論的に計算できる
http://energy-kanrishi.com/pump-j/
とにかく、締切運転を長時間続ければ温度は確実に上がることを知っておいて欲しい
締切運転は事故につながると知っておいて欲しい

2019年11月18日