事故について多くの事例を紹介している書籍紹介

最近感じるのは、製油所や化学工場で起こった事故を体系的に書き表した書籍が発刊されていないと感じている。
体系的に事故事例をまとめて本が出版されたのは、今から40年前が最後だ
日本では1970年代に事故が頻発した。化学プラントの安全技術を向上させていく為、多くの人が対策を考え実行していたのがこの時代だ
この貴重な情報を世に残すべきとして、当時の化学工学協会(現在の化学工学会の前身)から4冊の書籍が出されている
1978年から1979年にかけて丸善から発行された、「化学プラントの安全対策技術」というシリーズものの書籍である
第一巻は化学プラントの安全対策というタイトルで、化学プラントに存在する危険源や安全対策の基本的な考え方について紹介している
第二巻は化学プラントの安全設計というタイトルだ。設計という切り口で、考えるべきことを紹介している
第三巻は保安・保全の管理技術というタイトルだ。運転管理、設備管理、人間工学的な配慮などの切り口考えるべきことが紹介されている
運転マニュアルや教育訓練についても書かれており、現代でも参考になる情報だ
第四巻は事故災害事例と対策というタイトルだ。事故からの学び方、事故の調査方法とあわせ実際に起こった事故事例が数多く書かれている
中身は、装置別に実際に起こった事故事例が書かれている 反応器、タワー、タンクなど装置別に起こった事故が記述されている
プロセス別にも層別され事故事例が記載されている。石油化学であれば、エチレンプロセスで起こる事故。酸化エチレンで起こる事故などだ
海外の事故についても主要な事故の記述がある。
事故の件数で言えば、千点以上記述されている
既に絶版となっていて、書店で手に入れることは難しいが書籍のネット販売でたまに検索すると見つかることもある
化学工学会の会員なら、電子図書館というシステムがあるのでそこで閲覧することが出来る
高圧ガス保安協会(東京)の書庫にもあったと記憶している。そのいけば、コピーもできるし読むこともできる
40年前の書籍ではあるが、現代でも十分通用する化学プラントなどの事故のメカニズムがわかる内容である
一度は、読んでみてほしい書籍である

 

2020年02月23日