19年前の自分が経験した爆発事故に思う

自らが体験した爆発事故だ。2001/4/23に起きた事故だ
失敗知識データーベースでも公開されている事故だ http://www.shippai.org/fkd/cf/CB0012016.html
NF3という支燃性ガスを送るダイヤフラム式圧縮機が原因の事故だ 圧縮機は外国製で同業他社でも使用されていた
支燃性ガスとは、可燃物を激しく燃えさせる能力をもつガスだ
自分自身は燃えないが、何かが燃え始めたら相手を爆発的に燃焼させる能力を持つ危険なガスだ
事故が起こる前から、圧縮機の能力が落ちていた 少しずつ温度が上がっていた
一度圧縮機を停止して部品を交換してみたが性能は回復せず様子を見ていた 
圧縮機は気体を圧縮する時、熱を持つ。圧縮作用で温度が上がるからだ。
この圧縮機の弁にはエンジニアリングプラスチック製の弁が用いられていた
エンジニアリングプラスチックは当然燃える物質である 発火点を超えれば火がつくはずだ
運転を続けていたところ突然圧縮機周りで爆発が起こったのだ(1回目)
原因は、圧縮器内のガス温度が上昇してエンジニアリングプラスチック製の弁が着火したからだ
流れているガスは支燃性ガスだから、圧縮器内で激しい燃焼が起こり発生したガスの圧力で強度の弱い圧縮器内のダイヤフラムが破壊された
圧縮器内には潤滑油がある。潤滑油は当然可燃物だ。流れ込んできた支燃性ガスで激しく燃焼していった
さらに圧縮機二段目の吸入側配管に取り付けられた安全弁が作動したため、安全弁放出先となっている三フッ化窒素のドラムに放出され、作動油とNF3の分解で発生したガス圧力の上昇によってNF3ドラムが破裂した(2回目の破裂)
そのようにして最終的に装置が吹き飛び爆発したのだ 工場の建家・設備が広範囲にわたり破損した。
この爆発により付近で作業中の協力会社の従業員3名が軽傷を負った。今思うと死者が出なかったのが不思議なくらい激しく設備が損傷していた 周りに人がいなかったことが幸いした
この事故の原因は、支燃性ガスを流す圧縮機なのに弁に可燃物であるエンジニアリングプラスチックを使ったことだ
圧縮機は断熱圧縮により温度は上がる 放熱がうまくいかなければ温度は上昇する危険性がある
支燃性ガスを扱っているなら、配管や装置内では可燃性の部品は絶対に使わないで欲しい

2020年04月24日