計器はいつも正しい値を示しているとは限らない-タンクオーバーフロー

計装計器は故障することは少ないが、時には当然故障することもある
化学工場などでは、運転員が常に計器の温度を監視している
この時何気なく行っているのが、他の計器と比較して計器の指示が正しいのかチェックを行っている
計装計器でけっこうトラブルが多いのは空気式の液面計だ
タンクの中に液面を測るにはいろいろな液面計が使われる
タンクの中の液が詰まりやすかったりする液体だとパージ式という液面計がよく使われる
https://www.jemima.or.jp/tech/1-01-04-02.html
タンクの中にパイプを突っ込んで、そこに空気を送り込んで液面を計測する方式だ
常にパイプの中に空気を送り込んでいるのでパイプの中には詰まりやすい物が入ってこない利点がある
空気を送り込むとき液面の違いによりに圧力がわずかに変化することを検知して液面を測定する
パイプに空気を送り込んだときの圧力を背圧という。背圧という圧力と、液面の高さは相関関係があり背圧を測定すれば液面がわかる仕掛けだ
簡単な原理で、べとべとした油や廃液などの液面測定に使われる方式だ
背圧というわずかな圧力の変化を利用するのだから空気が漏れたりすればそれが誤差になることもある
たまに起こるトラブルは、空気配管の継ぎ手が緩んでいて空気漏れを起こしているケースだ
液面と空気圧と相関があると書いたように、空気が漏れれば液面の指示は実際の値より低めに指示することになる
つまり、空気漏れが起こると必ず指示は低めに出るというのがこの液面計の特徴だ
たとえば、タンクの中にポンプで油を送り込んでいるとしよう
計装空気配管から空気漏れが起こっていれば、指示は実際より低めに出る
まだタンクは、満杯ではないと思い込み液を入れ続けているとタンクの天板から油が溢れ出るという事故事例は多い
警報が付いているから大丈夫だと思っている人も多いが、計器そのものの指示が間違っているのだから警報は正しく出るはずは無い
タンクには、ガラス製のレベルゲージなどの液面計などを別途設けてあれば、計器の値と比較して異常に早く気づくことはできる
しかし、たいていの場合このガラス製のレベルゲージなどが付いていないケースが多い
設計段階から計器が壊れたら別の手段で確認できる設備があるのか確認して欲しい
HAZOPでも計器が故障すればずれと考えるはずだ 問題は計器の故障というずれを早期検知できるかだ
運転員が異常に気づけなければ結果として事故につながる
計器の故障も考慮に入れて設計や運転を行って欲しい

 

2020年08月09日