企業の事故調査報告書の読み取り方

事故調査報告書は誰が作るかによって書き方は変わってくる 大きな事故が起こると、事故調査報告書が作られることとなる
時代とともに誰が事故調査報告書を作るかが変わってきた
確かではないが1990年代までは大きな事故が起こると行政が主体で事故報告書を作成してきた気がする
1997年に、今まで高圧ガス取締法と呼ばれた法律名が、高圧ガス保安法と名前を変えた
国は取り締まるではなく、自主保安と舵を切り替えた
事故や災害を防ぐ主体者は国ではなく、事業者だという考え方の180度転換だ
国が取り締まると言えば、事故が起これば、取締りかたがわるかったのは国だという論理になる
とはいえ、取り締まるには限界がある 技術は絶えず変化し、技術の根底まで管理するのは行政には難しい
国も万能ではないと考えるのも道理である 
設備のリスクを知っているのはやはり、国ではなく企業などの事業者なのだという考え方もある
つまり、行政が規制するには限界があるということだ と言う観点から、自主保安という概念が1990年代から浸透し始めた

それを境にして、大きな事故が起きても国は事故報告書を自ら発行しなくなった
自主保安だから、企業が発行するべきだという考え方が根底にあるからだ

2003年という年は大きな事故が頻発した
2003.8.29名古屋エクソンモービル油槽所火災 2003.9.26~28出光苫小牧製油所火災
など大きな事故はあったがもう、国は事故調査報告書の発行主体者にはなっていない
いずれも、企業が主体で作り上げた報告書が出されている

つまり、事故報告書の書き方は、規制する側の視点から書かれた物ではなくなってきている
企業の視点で書かれていると読み取らなければならない
微妙なニュアンスではあるが、書き方は、規制する側と規制される側と当然の違いがある
規制者であれば、単純に法という視点で書けば良かった。ところが、事故は法を守っていれば起こらないというわけではない
法以上のことをどれだけやっていたかも企業は書かなければいけない

とはいえ事故が起きれば裁判もある 企業は書けないこともあるはずだ
事故報告書を読み取るのがますます難しくなってきている

 

2020年09月04日