事故や災害に思う

 今年最後となるブログだ。希釈熱という物を知っているだろうか?。物質を希釈する時に発生する熱のことだ。硫酸や塩酸を水で薄める時などに熱が発生する。それが、希釈熱だ。苛性ソーダでも、希釈する時に発熱現象が起こる。

 熱という物は、事故につながる。発熱が引き金になり、事故という形になっていくのだ。重合反応などの「反応熱」というと、かなり発熱事故を知っている人は多いが「希釈熱」で事故が起こるとは考えている人は少ないから事故が起こる。

 熱の発生のメカニズムにかかわらず、熱は事故の要因の一つとなる。今回、希釈熱の事故を紹介しておく。

1998/11/9に福岡県の化学会社で起こった事故だ。

濃度の異なる廃酸が、廃液タンク内で混ざり希釈熱が発生した。廃液には、過酸化物という温度で反応を始める有機過酸化物が含まれていた。

有機過酸化物は温度の上昇で分解反応が始まり、大量のガスがタンク内で発生した。

タンクは圧力に耐えられず破裂して何らかの着火源で爆発した事故だ。

硫酸や塩酸など酸を扱っている職場は多いはずだ。無機物で可燃物では無いからと火災や爆発を想定していないと思わぬ事故となる。

希釈熱について勉強して欲しい。

来年も可能な限り、過去の事故から得られた貴重な教訓はブログで紹介していきたい。

ではよいお年をお迎えください。

 

 

詳細は下記のホームページから知ることができるので参考にして欲しい

失敗百選 http://www.sozogaku.com/fkd/cf/CC0200070.html

リレーショナル化学災害データーベース https://riscad.aist-riss.jp/acc/7273

 

 

2016年12月31日