要約する技術-時間は限られている

大学を卒業するときに論文を書く
数枚で終わるような論文を書けばいいかというとそうでは無い
結構長々と文章を書かないといけない

しかも起承転結で理路整然と書かなくてはいけない 
ものすごい枚数も学位論文には必要なのかも知れないが企業には入ってからはその価値観は通用しない
今から何十年も前に企業で教えられたのはこうだ
何百億の投資も、数百万円の投資案件も経営会議にかけるときはA4かA3用紙1枚に要約される
投資として経営陣に認めてもらえるにはその数千文字に思いを込める必要がある
文章も相手が魅力を感じる表現が不可欠だ
経営が判断するのは,そのメリットとそこに潜在するリスクの2つだ それを天秤にかけるわけだ
わかり易く端的に書かなければ、判断はせず論議のテーブルに載ることはない 先送りにされる

会社を去って今でも多くの文章を読むが、何を言いたいのかわからない文章が実に多い
仕事柄事故やトラブルの報告書を読む機会が多い
起こった事実は一生懸命書いているのだが、どう二度と同じ過ちを犯さないかという記述は実にお粗末だ
事故の事実を単に一生懸命書いているだけで、何を学んだかが書いていない
事故というのは全く同じ事故はほぼ起きないから、事実を書いてもそれが大いに役立つわけではない
事故という失敗から学んだことを書いて欲しいのだ それが他の人にも役に立つからだ

最近思うのは,写真や図面を貼り付けて枚数を単に増やしている報告書も多い
文字でうまく表現できないからそうしているのかも知れない

報告書というのは、先頭に必ず報告書の要約を書かせるようにして欲しい
英語ではPREFACEとかSUMMARYという 序文とか要約という意味だ
短い文章でまとめる技術がビジネスでは不可欠だ
時間は限られている 常に短い語句や文章で表現する技術を磨いて欲しい

イラスト出典 イラスト屋フリーイラストより

 

 

2020年12月08日