正月休み中でも事故は起こる-のぞき窓の破裂事故

正月休み中に化学工場で事故がなければいいなと思っているが,休みのない工場も多い
正月でも事故は起きる。5年前にこんな事故が起きている 2016年1月3日に埼玉県にある化学工場で事故が起きた事故だ
https://www.sankei.com/affairs/news/180130/afr1801300041-n1.html
タンクの壁についた物質を、硝酸を水に溶かし洗浄していたところタンクが破裂したという。直径1m、高さ2mの小型タンクだ。
タンクは金属製で、中の様子を見るガラス製ののぞき窓が破裂で破損してそこからガスが吹きだしたという。
吹きだしたのは有毒ガスだという。2人の尊い命が、失われた。
このような事故を教訓としてとらえるときのキーワードは何かを過去の事故事例から紹介したい。
1つ目のキーワードは、突沸である。タンクの洗浄温度は、80度だったが、事故時はそれよりも高温だったという。
水は100度が沸点だから、もし100度を超えた状態であれば、大量の水蒸気が発生する。
水蒸気は、密閉したタンク内では逃げ場がないので、タンクの圧力はどんどん上がるはずだ。
もし、タンクに安全弁が無ければ、タンクの圧力は逃げ場が無くなり、一番強度の弱い部分が破壊する。
つまり、ガラス製ののぞき窓が破壊される。
第2のキーワードは、硝酸濃度だ。どうしても、洗浄作業を早く進めたいと思えば硝酸の濃度を上げることを考える。
そうすると、洗浄時間は短くなるが、硝酸との反応で大量のガスが発生する。
密閉されたタンクであれば,ガスの発生は圧力を上げることになる
事故の調査報告書によれば,規定の硝酸濃度より3倍にして洗浄していたという
結果として大量の蒸気がタンク内で発生して,強度の弱いガラス製ののぞき窓が割れたという
割れたところから大量の毒性ガスが漏れ死に至ったのだ タンクの温度が上がれ蒸気圧で破裂事故を想定すべきだ
反応残液などをタンクに入れるなら,万一を考え破裂板を付けて置いて欲しい
化学物質の取り扱いで温度と濃度は,事故につながる重要なキーワードだ
温度を上げるな,濃度を上げるなと言い続けて欲しい

 

2021年01月03日