キャンドポンプで起こった重大爆発事故-HAZOPで見落としやすいリスクだ

今から17年前の2004/1/13鹿島地区のコンビナートで大きな爆発がおこった
キャンドポンプというポンプ内で反応が起こりそれをきっかけに起こった爆発事故だ
http://www.shippai.org/fkd/cf/CB0021002.html
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2004-037.pdf
キャンドポンプは、密閉型のポンプで漏洩を嫌う物質に使われるポンプだ
毒性ガスなどポンプから漏れると影響が大きいので、漏れると危険という流体によく使われるポンプだ
事故が起こったプラントでは、温度が上がると自己分解性がありかつ重合して詰まりやすい四フッ化エチレンとい物質を流していた
この物質は温度が上がると反応が進む物質だった。その物質がキャンドポンプ内で詰まり温度上昇で爆発した事故だ
四フッ化エチレンの最小着火温度(150~400℃)を超えたことが第一原因だ
更に漏洩した四弗化エチレンが一次爆発し周辺部で二次爆発を起こした
破損機器は半径500m程度迄飛散した。爆風により半径1kmの範囲で被害が発生している
キャンドポンプ内には、モーターがある 電気を流してモーターを回転させると。モーターの周りには熱が発生する。
この熱を除去する為、モーター周りには細い配管が設置されている
冷却用の液体を流すのだ 通常、ポンプで流す流体の一部を、この細い冷却用配管にバイパスしてモーターを冷やしている
ところが、このポンプに流していた流体は温度が上がると爆発する物質だった
おまけに反応性が有り、反応を防止する液体が常に送り込まれていた
があるとき、その反応防止剤が流れてこないトラブルが起こった
そうすると、反応を始めるのでその流体は粘度が高まり冷却用の細い配管内の流れが悪くなった
その結果、液体の温度はどんどん上昇し最後は着火点を越えてポンプ内で爆発を起こした
キャンドポンプは、構造上冷却用内部配管が詰まると温度が上がり易い
温度が上がると危険な物質にキャンドポンプを使うならしっかりと安全対策を行うことだ
HAZOPなどの安全性評価でもポンプ形状によるリスクを見逃しやすいので注意が必要だ

 

2021年01月15日