圧縮機破壊事故の教訓から学ぶ-38年間点検していなかったボルトのゆるみ

回転機器であるポンプの事故事例はかなり紹介されているが、圧縮機となるとなかなか事故事例は公開されることはない
しかも、写真などがついている情報などほとんど表には出てこない
いまから10年前の事故だが構造図や、原因が書かれている公開資料があるので紹介する
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2010-221.pdf
圧縮機は、ピストンを用いた往復動型だ。ピストンが行ったり来たりするのだから、当然金属部品で丈夫につくられている
製油所で使われていた圧縮機で、1段目が4MPa、2段目が10Mpa迄昇圧できる。
流体は水素だ。漏れれば簡単に火がつく。
使用してから38年になる圧縮機で、4年毎に重要部品であるピストンシリンダー部は点検していた
クランクという、往復運動を回転運動に変換する重要部分は12年毎に点検していた。
https://www.tetsugen.com/compressor-151210/
ところが、ピストンとクランクの間にある、クロスシューヘッドという構造部分は38年間1度も点検していなかった
圧縮機メーカーの要領書でも、その部分は点検対象にはなっていなかったという
そのクロスシューヘッドという重要部品を固定しているボルトが、38年間の間に徐々にゆるみ最後は破断して事故となったのだ
その結果、内部の金属部品は壊れ火花が生じ漏れた水素に火がついたのだ
事故の教訓は何かというと「ボルトは緩む」と言うことだ。38年間1度も点検しなければゆるみは見つけられない
再発防止の為、ダブルナット化し、しかも4年に一度トルク管理するようにしたという
たとえメーカー側の点検要領に点検推奨項目として取り上げられていなくても、ボルトのゆるみは点検してほしい
回転機器は、引っ張りと圧縮の応力がかかる。繰り返しの振動もある
20~30年を超えて使っている回転機器の点検要領書を見直して欲しい。一度も点検したことがない箇所は無いようにして欲しい
時間が経てばボルトは緩むと考えて欲しい

 

2021年08月29日