なぜ事故が起こるのか

 今日は年末31日大晦日だ。自分が保有している、国内外過去50年間分の事故情報を見てみた。けっこうな件数がヒットするかと思ったが、たった一件しか該当する物は無かった。2014年12月31日に中国で発生した事故だ。中国の自動車部品工場で機械の洗浄に使っていた有機溶剤(シンナー)が近くで行っていた火気工事で爆発 死者75人、負傷者は185人。死亡者の数を見ても、日本では考えられない事故が、海外では起きているのが現実だ。この事故のキーワードは、「有機溶剤」だ。日本でも、この有機溶剤を使用している化学工場では事故は繰り返し起きている。

 有機溶剤は、色々な化学物質を溶かしたりするに非常に便利な化学物質だからだ。しかし、静電気で簡単に着火するという性質を持ち、取り扱いには非常に注意が必要な物質なのだ。化学物質が着火するのは、溶接火花のような直火と言われるものか、静電気の火花かだ。日本では、溶接火花のような直火は、過去の火災事故の教訓からしっかりと管理されるようになってきているが、外国ではまだまだ可燃物の近くで火気工事が行われる現実がある。

 日本の化学企業は、今や化学プラントを世界中に展開してきているが、日本の安全管理に関する常識が世界の常識ではない。海外では、

可燃物のあるところで、平気で同時並行的に火気工事が行なわれることはありえると思っておく必要がある。海外に赴任する日本の技術者は、日本で起こった過去の事故事例をしっかり学び、海外にもその知見を展開し少しでも事故の犠牲者を出さないような活動をしてほしい。

2015年12月31日