計装計器の時間遅れを教えているか--計器検出値の伝達遅れ

製油所や化学工場などでは沢山の計器が使われている。入社後20年ほど計装設備の設計、保全、技術教育に関わったことがある
運転員に計装設備について教育するのだろうが、計器指示には時間遅れがあることは教えているのだろうかと気になった
流量計、圧力計、液面計などの計器類はプロセスが変化すればすぐに計器指示は変化する。検出にほとんど時間遅れはないからだ
ところが、温度計は時間遅れが生じる
温度計には、熱電対や測温抵抗体が検出器として使われる。ところが、検出器をそのまま装置には取り付けるのではなく保護管という保護カバーを取り付ける
保護カバーを取り付けることにより、熱が伝達してくるのに時間遅れが生じてしまうのだ
例えば加熱炉のような温度が比較的高い設備をスタートしていくときは、温度計の時間遅れを考慮して昇温操作していく必要がある
1960年代石油化学工業が始まったとき加熱炉の事故が多発した
昇温スピードをマニュアルで定量的に規定していなかったこともあり、運転員により個人差が出て、急激に温度を上げて事故も多かった
温度計に時間遅れがあるのに、まだ温度が上がらないと焦って燃料を多く入れすぎ加熱管が破損する事故も多かった
温度計の時間遅れを理解していなかったからだ
炉の最高運転温度も明確に規定していなかったりして事故も多かった
まだまだこの当時は、警報の数も少なく運転員が温度上昇に気づかなければやはり加熱によるチューブ破断も多かった

もう一つ分析計も時間遅れを生じる計器だ
配管などに直接設置される分析計なら、時間遅れはないが、分析計検出器とサンプリングポイントが離れている場合だ
分析計にサンプルが流れてくるまで、時間がかかることを考慮しておく必要がある
特に制御に使う計器ならなおさらだ
例えば反応器内の濃度を測る分析計なら注意が必要だ
指示がなかなか変化しないといって、原料や触媒を多く入れすぎて反応器が爆発した事例もある
計器に指示が正確に出てくるまで、時間を要する計器の種類があることをしっかりと教育してほしい
計装という技術もキーワードは伝承して欲しい

 

イラスと出典 長野計器ホームページより

 

2021年09月22日