除害設備の設計-処理能力に問題は無いか

有毒な化学物質を扱う化学工場には除害設備というものがある。無害化して安全な状態で大気に放出する設備だ
化学工場では塩素やホスゲンなど有毒なガスが使われていたり、硫化水素などのガスの発生もある
万一大気に漏らすと人命にも関わることになる
問題はその処理能力だ
最悪の事態を考え能力が決められていればいいが,多くの事故事例から能力不足という問題がある
処理能力は、何かを想定して通常決められている。一般的な決め方は、通常発生する有毒ガス量に安全率をかける方法だ
通常のガス量というのはそれほど多くない
ところが突然の運転トラブルや停電などで、通常時を大幅に超える事例も沢山ある。運転員の作業ミスが引き金になることもある
例えば誤って、液化塩素を除害設備に流してしまう事故事例だ
液化塩素は気化すると容積が増え大量の有毒ガスが発生する。設計上の能力が、常時発生する排ガス程度であれば大幅に能力を超えることになる
除害設備というのは最悪の条件を想定して処理能力を決めておくことだ
更に、2系列化しておくことが望ましい。どちらか一つがうまく動かなくても他系列でカバーさせるのだ
まら、停電でも確実に動くようにして欲しい。バックアップ電源が必要だと言うことだ。
異常時に自動起動する方式の除害設備は、定期的に作動テストをして欲しい。リレーが故障していていざという時作動しなかったという事例もある
地震時に設計が悪く除害設備が自動起動しなかった事例もある
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000197.html
非常用電源設備が,起動したもののすぐに停止してしまったからだ
地震の揺れで、冷却水の液面計が誤作動し、本来動くべきはずの非常用電源設備が動かなかったからだ
地震による液面計が誤作動する事例は多い.液面のスロッシングによる影響だ
https://www.cybernet.co.jp/ansys/case/analysis/372.html
除害設備を保有しているなら処理能力や動作条件を再検証して欲しい。最悪の事態でも対応できるかだ
保守も大切だ。確実に動くことを定期的に確認して欲しい

 

 

2021年12月10日