排ガスを安易にパージ用ガスとして使うな--微量の成分でも反応する

排ガスは誰でも有効利用したいと思うのは当たり前だ
熱回収は当然行うだろう
燃焼後の排ガスなら,成分はほとんどがチッソだからパージ用ガスとして使いたいのはやまやまだろう
でも過去の事故事例を見て見ると失敗している事故事例は沢山ある
原因は,排ガスの中にわずかに可燃性ガスが含まれているケースだ
私の知るとこの最も古い事故事例は,1964年7月1日の四日市で起きた事故だ。ブタジエンを取り扱う合成ゴムプラントの事故だ
定修準備の為、反応器をパージしようとした。パージガスには、排ガスを利用していた。
ペンタンを燃焼させて出来る排ガスには、ブタジエンと反応する、NO2が数百PPM含まれていた。
当時は不活性ガスで事故がなぜ起きたか不明であったので、その後、時間が経ってから真相がわかった。
軽油の燃焼で製造された、微量のNO2を含む不活性ガスが反応器入口バルブのシール用に3B配管で供給されていた
この配管で爆発が発生,5mにわたり破裂飛散した。
事故の前に流量計が何度かハンチングしており、ペンタンを燃焼した際の加熱片が配管内に入り着火源になったという
原因は,排ガスパージ配管に枝管がありそこの弁の内漏れでブタジエンと排ガス中に含まれるNO2が反応してしまったのだ
ブタジエンは微量であれNO2と言う物質と反応して爆発性の物質を造る
その爆発性の物質が,爆発した事故だ
燃焼排ガスは,成分は100%窒素では無い。微量の不純物が混在する
その不純物が微量でも反応する物質がある箇所のパージには適さないということだ
安易に排ガスだからと言ってパージ用ガスとして使わないことだ
プロセス設計をするに当たっては、物質の性質をしっかり知っておくことだ
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/38/2/38_129/_pdf
イラスト出典 いらすとや フリーイラスト

 

 

2021年12月25日