ライニング機器の事故-事故のパターン

ライニング機器が原因で起こる事故について書いてみたい
化学工場では、ゴムライニング、テフロンライニング、グラスライニングなどが使われている
酸を入れる耐食性機器の内張などに使われる。破裂板などの安全装置にも、ライニングをした板が使われることがある
ライニングの目的は、母材となる材料コストのコストダウンだ。酸などに耐える金属は、通常の鉄などと比べ格段に高くなる
ライニングをすれば、高級な金属をそのまま使うことがなくなり大幅なコストダウンになる
そこに目を付けて、ライニング機器が使われることになる

そうは言っても、ライニング機器故のトラブルはある。大きく分けて5つある
1つ目は、初期不良だ。製作段階で、微妙にピンホールなどができているケースだ。検査はするものの、すり抜けて後で問題を起こす
ライニングは、わずかなピンホールでもあればそこを通って腐食性物質などが漏れ母材を腐食する。結果としては漏洩事故になる
メーカー側も、欠陥のない製品を目指しているものの100%完璧なものは存在しない
2つ目は、ライニングの老朽劣化による剥離だ。しっかりと、点検していれば良いのだがライニングが剥離すると思わぬ事故になる
ライニング機器も、寿命があると考えなければいけない。点検もせずまだ使えると思い使い続けていていきなり漏洩事故を起こすパターンも多い
3つ目はライニング剥離時に、水素が発生して爆発を起こす事故だ。ライニング部が劣化して、金属と酸が接触すれば、水素が発生する
水素が発生しているのを知らずに火気工事をして爆発する事例は多い。火気工事前に、ガス検知器を怠るからだ
4つ目はライニング機器やライニングした投入シュートでの静電気事故だ
機器本体は金属でも、内側をライニングしてしまうと静電気を逃がすのは難しい。ライニング機器の静電気事故も甘く見ないことだ
5つ目は、改造や解体工事での事故だ。工事では、火を使うことになる。ゴムなどのライニングは、溶接の火の粉などが落ちれば着火する
溶接や溶断工事中火の粉が落ちて火災になる事例は多い
自分の工場でライニング機器やライニングした破裂板を使っているなら、事故のリスクをしっかりと知って使って欲しい

 

 

 

2022年01月15日