ライニング機器の事故

ライニング機器が原因となる事故も多い
化学工場では、ゴムライニング、テフロンライニング、グラスライニングなどが使われている
耐食性機器の内張などにこのライニングというものが使われる。本体そのものを、耐食性のある高級金属を使うとコスト面で割高になるからだ
本体は安価な鉄を使い、内張にライニング材を貼り付ければ機器を安く作れるという利点がある
そうは言っても、ライニングは、はがれてしまえば効果は無くなる。つまり、維持管理が大事なのだ
しっかりと、点検していれば良いのだがライニングが剥離すると思わぬ事故になる
硫酸などの酸を入れているタンクの内張の一部が破損すると母材の鉄と酸が反応して水素が出来る
酸と金属が触れると水素が発生する性質があるからだ
たまたま、火を使ってタンクなどの改造を始めたとき水素に着火して爆発する事例が多い
鉄と酸による水素の発生は、案外知られていないから繰り返しこの種の事故が起きている
水素の発生を知らなくても、火気工事前にガス検知さえやっていれば防げる事故のパターンだ
ライニングに関する事故のパターンその-2は静電気だ
ライニング材は、電気を通さない非導電性材料だから静電気は起きやすい
可燃性の液体や粉体を入れればライニングで静電気が発生することが多い
これが原因で着火や爆発事故が繰り返し起きている。ライニング機器は、しつこいくらい静電気に留意して欲しい
原材料の投入時には、確実に窒素置換をして爆発混合気を作らせないことだ
定修工事などでのジェット洗浄時にも注意して欲しい。高圧ジェットの洗浄水の水しぶきでも静電気は発生する
過去にグラスライニング機器のジェット洗浄中に爆発事故が起きている
ライニングに付着していたポリマー物質に微量に含まれていた有機溶剤がガス化して可燃性ガスとなってドラム内に充満していたのだ
ジェット洗浄作業で静電気が発生しそれが着火源で爆発混合気に着火した事故だ。溶剤を使うプラントでは注意して欲しい
ライニング機器で注意して欲しいことがもう一つある
解体時だ。内部にゴムライニングがしてあることに気づかず火で溶断していて着火火災になった事例も多い
装置の内部に可燃性のライニングがあつたことで、火気解体時事故が起きている
ライニング機器を使うメリットもある。しかし、リスクも必ず存在する
しっかりとリスクを管理しながらライニング機器を使って欲しい

 

2022年02月19日