製菓工場火災に思う--油かすは自然発火すると思って欲しい

先日、新潟県にある大手菓子メーカーの工場で火災死亡事故が起こった。6人の方が、逃げられずに死亡した惨事だ
https://news.yahoo.co.jp/articles/74cb250fc4359019e908ec1af5851dfa9a1a08a3
この工場では、過去に何回も小火があったという。1988年7月~2019年11月、8件の火災が確認されている
部分焼が4件、ぼやが4件で、けが人はいなかったという 大きな火災にはならなかったが、事故を予見する兆候はあったと言うことだろう
過去の8件は、ほとんどが煎餅の生産工程で生地を乾燥させる機械に堆積した菓子くずから発火したというという
今回の火災を巡っては一部の従業員が「炭化した菓子のかすから出火した」と証言しているという情報もある
大きな事故が起きないと報道されないが、油が付着したかすなどが原因で起こる自然発火はよく知られた現象だ
自治体の防災関係の、広報にも沢山の情報がある
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/7415/sizenhakka.html
家庭内でも、Yシャツに油のついた状態で、くるくるとたたんで置いていたところ自然発火したという事例は沢山ある
油の発火点は、300℃程度だから、外気温数十度では燃えるわけが無いと皆が思っているからだ
発火のメカニズムはこうだ。まず、油は劣化すると発火点はどんどん下がってくる。200℃くらいにもなってくる
次に、油は空気に触れると酸化される。酸化されるときに酸化熱という熱を発生する。つまり、空気に触れてどんどん発熱するのだ
熱が逃げてくれれば良いのだが、油のついた布を折り重ねていたり、くるんでいたりすると内部に熱が自然とたまっていく
熱が逃げないまま、発熱は継続するので発火点を超えて火がつくのだ
八尾市という自治体のホームページに自然発火の実験報告と発火映像のビデオがある 400℃まで温度が上がったと記載がある
https://www.city.yao.osaka.jp/0000019191.html
工場などでも報道されないだけで、油かすや製品くずなどが蓄積して小火が起こっている
今回の事例も、油かすなどが引き金になっている可能性は高い。蓄熱自然発火の可能性もある
だだ、今回は火災とほぼ同時に停電が起こっているとの情報もあるので、着火源は電線などのショートという可能性もある
電線はショートすれば、火花を出す。火花が、油かすに着火すればこのような事故の形態となる
いずれにせよ、油が付着したものや油かすなどには常に自然発火の可能性があると理解して欲しい
機械装置本体だけではなく、油が付着する可能性のある.排煙ダクトなども注意すべき設備だ
油は空気に触れて徐々に酸化されていけば、蓄熱で火がつくこともあると覚えていて欲しい
電気火花などでも、油に火がつくこともあると知っておいて欲しい
常に油の付着箇所は小まめに清掃して発火リスクを減らして欲しい

 

2022年02月21日