タンクの上で液をサンプリング中爆発事故--原因は静電気

タンクの上のマンホールを開けて、ベンゼンという液の成分分析のためにサンプリングしていて爆発事故が起きたことがある
横浜の製油所での事故だ
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200001.html
着火源は静電気だ
1972年の事故だが、当時は作業員は静電気を逃がす静電気防止服も着用していなかった
静電気を逃がす静電気防止靴も使用していなかったので人体に静電気がたまっていたのだ
今では、静電気防止服や靴は当たり前のように着用しているが、当時はまだまだ使用していなかったので静電気事故は多かった
更に当時のサンプリング手法を定めたJIS規格は、サンプリング用容器を吊すひも糸は木綿とされていた
導電性の無い木綿を使うのだから、静電気は逃げていかない。事故の後JISは改訂され、金属製の糸と規定された
事故が起きるまでは、導電性など何も考慮されていなかったのだ
もう一つの問題点は、当時はまだタンクに窒素シールを行うことは一般的ではなかったということだ
窒素シールされていないのだから、マンホールを開ければベンゼンという可燃性蒸気がそのまま出てきてしまっていたのだ
もう一つの問題点は、タンクの中に液を入れてからすぐにサンプリング着手したことだ
タンクの中に液を入れると、液がかき回され流動帯電という静電気が発生する
時間が経つと徐々に静電気は逃げていくのだが、かなりの時間がかかる
しばらく時間をかけて、静電気をにがしていくのだが、この必要な時間のことを、静置時間と呼ぶ
つまり、静電気が逃げるまでは安易にサンプリングをしてはいけないのだが当時はあまり考慮されていなかった
たかが静電気と思うかも知れないが、静電気に関しては色々学んで欲しい
タンクに液を入れたときの静置時間という教育はしっかりと行って欲しい
静電気に関する事故は、実に多いからだ
静電気を甘く見ないで欲しい

 

2022年03月13日