製菓工場火災に思う--火災後の停電が怖いーー非常訓練を怠るな

今年の2月に新潟県にある大手菓子メーカーの工場で火災死亡事故が起こったのを覚えているだろうか
6人の方が、逃げられずに死亡した惨事だ
今回初めて社長が出てきて謝罪したという新聞報道があった
https://www.chunichi.co.jp/article/480879
この席上、調査報告書が出されたとの発表があった
事故報告書は以下のURLから入手できる
https://www.sanko-seika.co.jp/pdf/news20220601_1.pdf
この工場では、過去に何回も小火があったという。1988年7月~2019年11月、8件の火災が確認されている
部分焼が4件、ぼやが4件で、けが人はいなかったという 大きな火災にはならなかったが、事故を予見する兆候はあったと言うことだろう
過去の8件は、ほとんどが煎餅の生産工程で生地を乾燥させる機械に堆積した菓子くずから発火したというという
今回の火災を巡っては一部の従業員が「炭化した菓子のかすから出火した」と証言しているという情報もある
大きな事故が起きないと報道されないが、油が付着したかすなどが原因で起こる自然発火はよく知られた現象だ
自治体の防災関係の、広報にも沢山の情報がある
https://www.city.yokosuka.kanagawa.jp/7415/sizenhakka.html
今回の報告書の中に、火災とほぼ同時に停電が起こっているとの記述がある
火災の炎で、機械の上の方にあったケーブルダクト内の高圧ケーブルがショートしたという
結果として、火災後停電が起こり、避難していた人達が非常口をうまく見つけられずに犠牲者が増えたと思われる
報告書の非常口の写真を見ると、防火シャッタの真横に位置する
煙で視界も悪く、更に停電で暗闇の中で、真横に位置する非常口を訓練などで知っていない限りそこから抜け出すことはできなかったのだろう
訓練さえしていれば、助かった命だ
非常訓練の大切さを感じさせる
報告書には書かれていないが、電気ケーブルを通すダクトの材質と経路だ
乾燥設備周りなど、自然発火しやすい設備の周りには、ケーブルダクト通さないのが一般的だ
万一を考えるのだ。材質も不燃性の金属ダクトを選ぶ。今回はどうだったのだろう
安価な樹脂製ケーブルダクトが使われていれば一気に燃えたはずだ
ケーブルダクトのレイアウトにも注意を払って欲しい

 

2022年06月10日