実験室解体中の爆発事故-休日夜間の工事管理体制は甘くなる

まだ企業に勤めていたときの研究所の解体工事での事故の経験だ
当時は、安全担当の仕事をしていていた
工事担当者から突然電話がかかってきた。工場に付属する研究部門の実験室を解体していたら突然爆発が起こったというのだ
解体する実験室は、今まで色々な化学薬品を使用して実験を続けていた場所だ
事故当日は、実験室の中の廃液を処理する流し台を解体していた
午前中、流し台の周りの板を剥がしていたところ薬品臭がした
作業員は危険だと思い、解体作業を停止した
しばらくして、薬品臭が消えた。工事に立ち会っていた研究所の担当者に工事を再開しても良いかと確認した
工事は再開してOKとの連絡を受け、再び工事を確認していたところ爆発が起こった
ちょうど、実験台周りの板を剥がしていて、電動工具で切断しようとしていたときに爆発は起きた
この研究所では、長年塩酸、硝酸、過塩素酸などなどの薬液を使って実験してきた

実験で残った液は、今回爆発した廃液処理流し台で処分してきた
長い間薬液を処理してきたので、飛び散っていた薬液が周辺の壁にしみ込んでいた
壁の中では、多くの薬液の混合により、副生物ができていた
この副生物は、衝撃を与えると爆発する物質だったが、研究所の人達はそれに気づいていなかった
結果として、撤去工事で流し台の周辺の板を工具で切断していた時に衝撃エネルギーで爆発が起こってしまったのだ
工事は、研究所で作業しない休日に行われていた
本来、工事には研究所側の管理者が立ち会うことになっていたが。立ち会っていなかった
代わりに、経験があまりない若手研究者が立ち会っていた
結果として、異臭がしていたのに事故を未然にに防ぐことができなかった
今回の事故を見ても、休日や夜間の工事は管理体制が甘くなる
多くの重大事故は、休日や夜間に起こる
休日や夜間の工事の安全管理をおろそかにしないで欲しい

 

2022年07月19日