なぜ事故が起こるのか

日本で石油化学コンビナートが稼働し始めたのは、今から約50年前の1960年代だ。この時代は、まだまだ機械の信頼性も低く、事故を防ぐには技術的な問題を解決することに力点が置かれていた。1970年代に入ると、化学プラントの複雑化や大型化も進み人が技術について行けない状況も起こり始めた。ヒューマンエラ-による事故も多発した。コンビナートの事故要因の解析が進み、事故を防ぐには技術的な問題の解決に加え、ヒューマンファクターに着目した事故対策が必要だと考えはじめたのが、1970年代だ。

1980年代に入ると事故の未然防止という観点から、リスク管理という視点で事故防止対策が推進していった。危険の芽を見つけ出し、リスクを低減対策を打つことで事故を減らそうとする考え方だ。化学系企業で、HAZOPが使われ始めたのもこの時代だった。

1990年代に入ると、日本はバブル崩壊でコスト削減が強化され、いわゆる省人化が進んでいく。度を超えた省人化で、事故が増え始めたのもこの時代からだ。組織が関与する事故が起き始めたのもこの時代だ。

2000年代に入ると、技術伝承という問題が起き始める。バブルが崩壊してから、企業は人の採用を大幅に削減していたからだ.つまり、技術伝承をしようにも後輩が入社してこなかったのだ。更に、追い打ちをかけるように、2007年頃より、多くの事故やトラブルを体験してきた、団塊の世代が大量退職を始めたのもこの時代だ。

2010年代に入ると、化学産業で大きな事故が続いた.2012年頃から、ほぼ半年毎に事故が起きている。この頃は、2007年頃に定年となった、団塊の世代が再雇用を終えて企業から本当に去り始めた時代だ。化学企業だけでは無く、鉄鋼業界でも事故が頻発し始めたのもこの時代だ。

技術は人にありという。人が去れば技術は途絶える。技術の伝承は、長期プランで考える課題なのだが、現実そう対応されて異な事で事故が起こっている。

2016年01月11日