安全配慮義務とは

安全配慮義務という言葉がある 誰が誰に対する義務かというと、【労働契約法第5 条】ではこう定めている
「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
」使用者とは、賃金を払う人だとこの法律では定めている。つまり、雇用主と労働者の関係で求められる義務ということになる
労働契約法と、労働基準法とは異なるので注意が必要だ。労働契約法とは、民法だ。刑事罰のような罰則は無い
労働基準監督署の行政指導の対象でも無い。しかし、安全配慮義務を怠ると損害賠償請求を起こす根拠となる
民事上の損害賠償請求を、使用者は求められることになる。使用者と労働者の関係であれば化学企業の中でも安全配慮義務は存在する
化学工場で労働者が機械に巻き込まれたりすれば、安全配慮義務違反という問題も発生する
労働安全衛生法という法律がある。この法律は、事業者(会社)が守るべきこと及び労働者が守るべきことを規定している
事業者が機械を設計する際安全を配慮した設計をせず法律も守っていなければ、安全配慮義務違反にもなる
刑法の法違反は刑事罰で処分されるし、民法上の安全配慮義務違反は民事裁判等で審議される
では、化学企業が装置を停止して、建設業などの協力会社に定修工事を発注するときは安全配慮義務は生じるのかどうかである
発注書は、元請け企業に発注する。元請けは、下請けに仕事を発注するのが建設業などの形態だ
工事で、下請けの労働者が怪我をしたとしよう。
化学企業は、怪我をした労働者の使用者では無い。では、安全配慮義務は生じないかというとそうはいかない
たとえば、下請けの労働者は、化学物質で薬傷を負ったとしよう。発注者は、作業をする労働者が薬傷などを負わないような配慮が必要だ
例えば、装置や配管などの薬液を抜き、十分な水で洗浄を行い安全な環境を確保する必要がある。
それを怠っていれば、安全配慮義務違反から逃れることはできない
発注者は、使用者では無いから安全配慮義務は問われないと思わないで欲しい
多層の契約形態であっても、労働者の安全に関わる事項であれば、上流である発注者までその責任が及ぶことがある
安全配慮義務に関する法令や違反事例については、勉強しておいて欲しい
https://www.oreyume.com/column/p-cat-02/9449/
https://www.irric.co.jp/risk_info/worker/31.php
イラスト出典 https://www.think-sp.com/2013/08/19/kikikanri-anzenhairyogimu/
協力会社が作業するに当たって安全な環境を発注者が提供できていなければ、安全配慮義務を問われることもある
化学企業も人がどんどん減ってきている。事故や災害を自ら経験した人も既に退職している
協力会社に振り向けられる、マンパワーや時間も減ってきている
とはいえ、いかに安全な環境を提供できるかしっかりと発注者は考えて欲しい

2023年10月10日