長期間停止した設備の再稼働で起こる事故--現場パトロールの大切さ

長期にわたって設備を停めていると再稼働時事故を起こすことある。
企業活動の中で,設備を休止することもある。時間がたって再稼働したときに思わぬ事故に逢うこともある
今回過去に起こっている再稼働時の事故につていて紹介したい
東北大震災以降長期間停止した、原子力発電所を再起動していたときに起こった事故だ
九州の原子力発電所を再稼働してしばらくして蒸気が漏れたという事故だ
配管からの蒸気漏れだと言うことだったので、ガスケットの不良かと思っていた。
いつもよく見る世界のタンク事故情報を公開しているホームページを見ていたら、原子力発電所の蒸気漏れ事故の情報が記載されていた
2018年4月8日号の記事だ。写真もあるので興味のある方はみて欲しい。
配管の外面腐食に関する、診断法や維持管理のガイドライン等の文献等の紹介もあるので参考になるはずだ
http://tank-accident.blogspot.com/search?updated-max=2018-04-15T17:23:00%2B09:00&max-results=7
蒸気漏洩の原因はガスケットではなく、配管の腐食だと書いてあった、直径1cm程の穴が開いていたという。
蒸気の配管だから、当然保温がしてある
通常、蒸気を流していれば保温材の中は温度が高いから、保温材の中に雨水が入っても蒸発してしまう。
ところが、長期間蒸気を停めてしまえば保温材のすきまなどからしみ込んだ雨水などは蒸発せず配管を腐食させてしまったのだ
この原子力発電所は、約7年間という長期にわたって停めていたという。
蒸気配管の材質は鉄だった。腐食するには十分な材質だ。保温材の外側には、鉄が錆びたようなシミが付いていたという。
保温材を被った配管でシミが付いていたら、その場所で事故が起こる可能性があると思って欲しい。
鉄さびのようなシミであれば、内部で配管の腐食が進んでいると考えて欲しい。
もう一つ油のようなシミだ。配管の上のほうに油のようなシミがあるならそこから配管内部に油がしみ込んでしまったと考えて欲しい。
蒸気のような高温配管であれば、保温材にしみ込んだ油が温められ発火点を超え発火することがある。
油は新品の時の発火点と、古くなったものでは発火点が変わってくる。
過去の発火事故の文献などでは、油は古くなると発火点は新品時の2/3迄下がっている事例がある。
つまり、火が付きやすくなっているのだ。
更に、油は空気と触れて酸化するとき、酸化熱という熱を出すから保温材の中の温度は酸化熱も加わり相当高くなると思って欲しい。
現場をパトロールするときの感性を上げて欲しい。
たかが配管にシミが付いているだけだと思わないで欲しい。
保温材の中で何かが起きていると考え、早めに保温材を外して点検することが事故防止の基本だ。

 

2024年01月20日