除害設備で起こる事故

有毒な化学物質を扱う化学工場には除害設備というものがある。無害化して安全な状態で大気に放出する設備だ
製油所や化学工場では塩素やホスゲンなど有毒なガスが使われていたり、硫化水素などのガスの発生もある
万一大気に漏らすと人命にも関わることになる
除害設備で起こる事故にはパターンがある。まず、事故が起きた時のタイミングで分かれる。
スタートや停止などの時なのか、通常運転で突然トラブルが起きたかだ
スタートや停止時では単純なバルブ操作の間違えで想定以上の液やガスが除害装置に流れるケースだ
つまり、除害装置の能力を超えてしまうケースだ
設計条件では、ガスしか来ないと想定していた物が液が入り気化して大量のガスが除害装置に流れ出るケースだ
液化塩素を取り扱う工場でこの事故のパターンが多い。誤操作や誤動作のヒューマンエラー対策を進める必要がある
バルブの開閉表示や、配管の行く先表示の不備も多い。人が間違いを起こしにくい設備になっているか検証して欲しい
通常運転中のトラブルで多いのが、接続配管が漏れた事例も多い。維持管理がおろそかだったからだ
配管や接続部の老朽化対策も必要だ 塩ビ配管などは劣化や割れなどに注意をして欲しい
運転中のトラブルとして、停電と地震というキーワードがある
停電は非常用電源などが起動しなかったとか、予備の除害塔に切り替わらなかったなど日頃の保守点検が悪い事例もある
地震は計器の誤作動が引き金になることも多い、液面計や液面SWの誤作動でうまく起動しなかったとか突然止まった事例も多い
揺れや振動による計器の誤作動対策もしっかり行うことだ
事故防止のポイントは3つだ。設計の段階で、最悪の事態を考えて設計しておくことだ。能力不足があれば必ず事故につながる
2つめはヒューマンエラー対策だ。本来とは違うバルブの誤操作が引き金になることも多い。バイパス弁をあやまって開けなどの事故もある
弁の開閉表示や弁番号表示も不足して起こる事故が多い。逆流させての事故もある。逆止弁の設置も設計段階から考えて欲しい
3つめは、除害設備の日常の維持管理だ。いざという時作動してくれなければ役に立たない。定期的な動作テストや除害液の管理も必要だ
設計段階で、ハード面では処理能力に関ししっかり見ることと、人がミスを犯しにくい配管フローなどの設計や表示をしておくことだ
最後の砦は、日常の維持管理だ。維持管理を甘く見ないで欲しい

 

2024年05月16日