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粉塵爆発を甘く見るな

粉塵爆発とは粉を取り扱う時に起こる爆発だ。燃える粉を扱えばこの粉塵爆発は起こる
粉塵が爆発するというのは1892年イギリスで火災保険論という文書で書かれている
アメリカでは1924年に火災防止書籍に記載されている
粉塵爆発は100年前から知られていることだが、粉を甘く見ているというのが現実だ
小麦粉も燃える。当然小麦粉でも粉塵爆発は起こる。砂糖も粉状の微粉になれば燃える。粉塵爆発は起こる
日本で記録に残る最初の粉塵爆発は、1931年川崎で起きている。日清製粉という製粉工場だ。
https://www.nisshin.com/museum/teiichiro_shoda/leader/
現在でもこの企業は、これを糧にして粉塵爆発防止の技術を有している
粉塵爆発とは特別な現象ではない。単に燃焼の三要素が成り立っただけだ
物質が、たまたま粉体だったと考えれば良い。物質が気体ならばガス爆発という。粉なら、粉塵爆発言うだけだ
粉塵爆発はガス爆発と同様な原因で起こる。1つ目は今まで大丈夫だったという考え方だ
事故は、今までと何か条件が変化すれば起こる。粉の粒径に変化があった、投入方法が変わった、流速が変わったetcだ。
もう一つは、異常に気づく設備が不十分だったという事例だ。爆発の一つ手前の、燃えるという現象は空気が存在するからだ
爆発混合気にならないように、常時酸素濃度を監視する設備がないとか、点検を長期間しておらず酸素計が正常な指示が出ていなかったという事故事例も多い。もう一つは人為的なミスだ。手順を間違えるケースだ。
最後は、着火源だ。得てして、粉は静電気を発生する。静電気をうまく逃がせていないと着火する。
今回は過去の主要な粉塵爆発を紹介しておく
アメリカで起きた巨大な粉塵爆発で。英文だがビデオもあるので見ておくと良い
出典CSB事故調査資料とビデオ https://www.csb.gov/imperial-sugar-company-dust-explosion-and-fire/
化学工学会にも情報がある、
https://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2016/03/2008-05-Beacon-Japanese.pdf
https://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2016/03/DANWA2008_05_No25-0916.pdf
https://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2020/01/2020-01-Beacon-Japanese.pdf
https://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2020/01/DANWA2020_01_No163.pdf
https://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2021/06/DANWA2021_06_No180.pdf
粉を甘く見ないで欲しい。

 

2026年01月25日

HAZOPで低温というリスクを見落とすな

空気分離装置を持つ工場で低温による中国での事故事例がある
http://tank-accident.blogspot.com/2019/08/15.html
事故に伴い15人が死亡、16人が重傷、250人を超える多数のけが人が出ているという
酸素や窒素、アルゴンなどのガスを製造する工場だ。これらのガスは、大気中の空気から製造される
空気を冷やしていくと、ある温度で液化を始める
物質により液化を始める温度は異なるので,その性質を利用してガスと液に分離していく
液化温度はマイナス150位の温度になるので,非常に低い温度(極低温という)で運転することになる
非常に温度が低いため、設備は熱の移動を防ぐ為2重構造で設計されている
いわゆる魔法瓶のような構造だ。極低温のガスや液体が通る設備の外側には,断熱材が張り詰められている
その外側には,断熱材をカバーするような金属製の外筒が付けられている
内側の装置は、極低温で運転するのだから、低い温度でも耐えられる金属材料を選定する
しかし、外側の金属製の外筒は大気と接する温度なので,極低温に耐える金属は使用することは無い
つまり、価格の安い鉄が使われる
鉄は、常温では十分な強度を持っているが,マイナスの温度になると極端に金属強度が落ちるという性質がある
今回の,中国の事故は内側の装置からマイナス150位の極低温のガスが漏れ出していた
すぐに運転を停めて検査すればいいのにそのまま運転を続けていたようである
結果として,極低温のガスが外側の,低温には弱い金属部まで達したようである
外側のカバーは,極低温のガスに触れたことによりもろくなり破裂してしまったようだ
金属が低温でもろくなり強度が無くなることを「低温脆化」という
HAZOPでも,温度の低いガスの近隣の設備はこの低温脆化のリスクを徹底的につぶしておくことが必要だ
極低温ガスが逆流すれば,鉄配管はひとたまりもない
熱交換器でも,急激な気化が起これば蒸発により急激に温度が下がることもある
零度以下の低温側への温度のずれについて常に関心を持って欲しい
温度に関しては、高温は危険と感じてくれるが、低温は危険という感性は低い
定温を甘く見ないで欲しい

 

2026年01月21日

技量管理の難しさ 工事の品質管理は難しい--現場監督の力量

化学プラントでは、新設、改造、定期点検が常に行われて行く
高温、高圧の設備もある。毒性ガスの設備もある。漏れれば危険な物を沢山取り扱っている
工事や点検は社員自らやるわけではない。工事施工会社などに頼むわけだ
大手工事業者に頼めば安心かというとそうとは限らない 現場で作業する作業員の技量がしっかりと管理されていなければ事故が起こる
今から数十年前は,ベテランの監督や技能者が沢山いた。建設や改造工事を沢山経験した人達がいたからだ
2007年度問題というのが過去にあった。団塊の世代という経験豊かな人達が大量に辞めていった問題だ
当時、日本政府は、再雇用という制度を作って退職時期を5年引き延ばした。つまり、2012年頃までは腕のいい職人は確保できた
何も言わなくても、工事の品質が確保されていたのは2010年代までだろうhttps://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2019/honbun_pdf/pdf/honbun_01_03_01.pdf
つまり、監督などがしっかりしていなくても末端で働く労働者の質が平均的にかなり高く,めったなことではトラブルは起きなかったからだ
ところが,昨今はそうはいかない。監督者も経験不足。現場の作業者も技量のバラツキが大きいという現実がある
現場の質が落ちたというより、現場作業者のバラツキが大きくなったと理解する方が正しい
監督者もたたき上げと言うより、頭でっかちの監督者が増えてきている。経験は無いのに,立場は監督者という構図だ
では,仕事を発注する側の立場で考えると、どう工事の品質を確保するかだ
溶接技量などは、技量検定資格などもあり,ある程度能力は見抜ける。実技試験もあるから、できばえも評価できる
ところが監督という職業は、技量検定という制度は定着していない 部下の目に見えない技量も管理しなければいけないからだ
とにかく、現場監督の力量で工事の質は決まる 優秀な現場監督が確保できる企業を選ぶことだ
企業規模ではない、人に技術有りだからだ。企業評価をするときには書面だけでは駄目だ。キーマンとなる監督者層と話す機会を作れ
その上で,発注先の能力を評価して欲しい。現場監督の力量でかなり安全や工事の質は変わってくる
現場で先頭に立つ,監督者層の力量を見て欲しい
仕事というものは発注したら終わりではない。きちんと100%の要求事項を満足してくれるかだ
1%でも欠けていれば後で何かまずいことが起こることになる。有能な現場監督のいる企業を選択することだ
そうはいっても、そう簡単に発注先を変えられないことのもどかしさもある

 

2026年01月15日

ベーパーロック現象 HAZOP 流れ無し

ベーパーロック現象というのを知っていますか
液体の一部が気化して体積が膨張することで、配管内で流れなくなる現象だ
加熱炉などで被加熱流体配管内で起きると事故につながる現象だ
被加熱流体の中に水分が入っていると、温度が上昇すれば水分は水蒸気になり体積が膨張する
液体の水分が、気体である蒸気になると体積は1700倍くらいになるという
そうなると、この水蒸気が邪魔をして、被加熱流体そのものが流れなくなってしまう
これをベーパーロック現象という。蒸気(ベーパー)の発生で管路内が閉塞(ロック)してしまう現象だ
被加熱流体の管路内で流れが止まると、バーナーの熱で管路は部分的に温度が上がりすぎてしまう
金属は温度が上がりすぎると、耐えられなくなりどこかが破断して被加熱流体が漏れ出す
被加熱流体が可燃性であれば、加熱炉内などのバーナーの炎で着火して炉内火災を起こす
1978年6月15日に製油所の加熱炉でこのベーパーロック現象が起きている
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00063.pdf
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00063_s.pdf
学習用ビデオ教材もある
https://www.pecj.or.jp/japanese/safer/weblearning/materials/movies/00063_A-131.mp4
事故の発端は、加熱炉の被加熱流体に含まれる水分管理を怠ったことだ
次は、ベーパーロック現象で流れが悪くなり、被加熱流体出口側の温度が下がっていたのに、異常と思わずなにもしなかったことだ
更に、本来各流路には、早期に異常を気づけるように流路毎に流量計をつけておくべきなのに設置していなかったことだ
HAZOPで加熱炉の検討をするときに、案外このベーパーロックという現象を見逃してしまう
ベーパーロックが起これば、「流れ無し」というズレが起こる
液が流れていないのに、バーナーで炊きあげれば、管路の温度が異常にあがる
管路が破断して炉内火災を起こすという、ハザードシナリオが描けるかだ
流路内に沸点の低い物が混ざり込むとこのベーパーロック現象が起こる
ベーパーロック現象にも関心を持って欲しい

2026年01月10日

長期の休み明けで事故が起こることがある

今から10年前の2014年1月9日に三重県四日市で起こった熱交換器の爆発事故を覚えていますか
爆発により多くの人が死亡した事故です。事故の報告書があるので一度読んでみてほしい
https://www.mmc.co.jp/corporate/ja/news/press/2014/14-0612.html
この事故は、多くの教訓を与えてくれています。
年末から年始にかけて長時間窒素でパージしていれば安全と考えていたことが事故につながりました
事故を起こした熱交換器に残っていた物質は「乾燥させると危険な状態になる」物質だったからです
「ドライ窒素」のようなの乾燥した気体では爆発感度がものすごく上がることが事故報告書にも記載されています
「乾燥した、窒素」でパージしたことが結果として事故の被害を大きくしました。
窒素でパージすれば安全という、思い込みが事故につながったのです
乾燥させると危険な物質も世の中には沢山あると考えて下さい
年末から正月明けにかけて、「長期間窒素でパージ」して乾燥させたことが事故につながったのです
長期の休み明けで、安全だということを確認する方法を明確にしておいてください
これから気温もどんどん下がっていきます
スチームトレースの効きが悪いところは無いか。スチームトラップが吹いていないところは無いか
保温カバーに損傷は無いか。きちんと点検してみてください
休み明けで起こる事故も多いからです 現場もしっかりパトロールしてみてください
休み明けの現場確認をしっかりやってください

 

2026年01月05日
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