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川崎市の公開されている情報--地震対策事例や危険物事故事例を紹介

化学工場などでは、地震にどう備えるかは関心があるはずだ。色々な企業が地震対策を進めているはずだ
川崎にはコンビナートがある。底では、色々な検討が行われている
川崎地区の企業が集まって安全活動をしている組織がある
川崎市危険物等保安審議会と言う組織だ。そこでは、色々な安全に関する情報を公開しているので紹介する
川崎市がコンビナート内の企業の地震対策に関するいい情報を公開している。
https://www.city.kawasaki.jp/bousai/category/291-2-2-1-0-0-0-0-0-0.html
ホームページの下の方に、PDF版の資料がある。。実際に企業が行っている地震対策が写真入りで、紹介されている。
球形タンクの柱の強化や、液状化対策、通信方法の強化など実に役立つ情報がある。企業の安全担当者は1度見て見てはどうか。地震対策のいい参考情報だ
川崎市危険物等保安審議会のホームページを見て欲しい。
https://www.city.kawasaki.jp/bousai/category/291-2-2-5-0-0-0-0-0-0.html
ここにも教育資料など参考となる情報が公開されている
危険物施設の点検要領が写真などで示されているいい資料だ
https://www.city.kawasaki.jp/840/page/0000175814.html
火気使用時の安全対策に関する情報もある
https://www.city.kawasaki.jp/840/page/0000064922.html
危険物事故の教育資料もある
https://www.city.kawasaki.jp/840/page/0000064922.html
化学工場の安全スタッフなどには役に立つ情報も多い。参考にされたい

 

2025年08月30日

小口径配管が引き起こす事故

製油所や化学工場では沢山の配管が存在する。太い配管は、漏洩などがおきればリスクが高いのでしっかりと点検や整備が行われる
ところが、口径の小さな配管は案外おろそかにされる。そこで多くの事故が起こっている
小口径配管という用語がある。配管サイズが1B未満の配管だ。ミリサイズで表現すると、直径25mm以下の小さな配管だ
計装設備の配管はこの小口径配管だ。ポンプ廻りの、エアー抜き配管やドレン配管も、この小口径配管だ
ポンプであれば当然振動もある。この小口径配管のサポートをしっかり取っていなければ、振動で折れることもある
小口径配管というのは、ネジ接続が多く使われる。ネジは、強度的に弱いのだがコスト的に安いのでこのネジが使われる
ネジ接続は、長期間振動が加わるとネジ部が破損する事故事例が多い。こんな事故事例がある
ポンプのエアー抜き配管が振動で折れ油が噴き出した小口径配管の事故だ
https://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200032.html
小口径配管は、口径にかかわらずきちんと配管サポートを取るべきなのにサポートはしっかり取られていない
結果として、長期間の振動でネジ部が外れたり折れたりして液の漏洩により事故が繰り返し起こっている
配管サポートは口径の大小にかかわらず必要だ
たかがサポートと思わないで欲しい エアー抜き弁だけではなく、ドレン弁の振動で配管折損事故も多い
ポンプや圧縮機などは目には見えなくても機械は微妙に振動している
振動が繰り返せば一番弱いところが壊れる
たいていはネジで接続した部分だ ネジは折れやすいからだ
振動だけでは無く、腐食事故もある
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000028.html
一度自分のプラントを「小口径配管」という切り口で点検して欲しい。特にネジ接続であるところは早急に補強して欲しい
ネジ部周りをシール溶接して強度を増すことだ
小口径配管を甘く見ないで欲しい。長期間振動がつずけば、堅い金属は必ず破損する
振動のある小口径配管の対策を行って欲しい

 

2025年08月25日

今から55年前の今日、千葉のコンビナートで起こったタンク爆発死亡事故

もう半世紀前の事故だ。1970年の今日8月20に起きたタンク爆発事故だ
4人が死亡3人がケガをする大きな事故だが、ネットで探しても事故の詳細は出てこない
災害情報データーベースに2行書かれているだけだ
http://www.adic.waseda.ac.jp/adicdb/adicdb2.php?q=%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%80%80%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%80%80%E7%88%86%E7%99%BA%E3%80%801760
事故の記録は以下に残っていないかだ
千葉県の市原市にある化学工場で起こった事故だ
事故の概要はこうだ
石油化学工場でプロピレンを製造していたプラントの事故だ.
製造に伴い、廃ポリマーと廃メタノールが発生する。タンクの中にためて、処理をしているときにタンクが破裂した事故だ
廃ポリマーは粘度が高く少し温めないとタンクから抜き出しにくかった。そこで、タンクにスチームを入れポリマーを暖めていた
ところが、暖めすぎたことから、タンク内に含有するメタノールが突沸ししてしまった
タンクにはブリーザー弁はあったものの、大量に発生したメタノール蒸気は放出能力を超えた
その結果タンクの圧力が上がり、タンク天板が破裂。メタノール蒸気が天板から噴き出した
たまたま近くを通過していた協力会社のトラックのエンジンでメタノール蒸気が着火し爆発した。
トラックに乗っていた作業員はやけどで死亡した。作業をしていた社員も死亡。近くにいた人も死亡した。
事故のキーワードは突沸現象だ。物質は、沸点以上暖めれば、かならず突沸というリスクがある
突沸は大量の蒸気を発生するから、タンクのような密閉された容器であれば急激に圧力が上がる
放出装置はあっても、突沸のように一瞬に発生する大量の発生蒸気は放出不可能だ。結果としてタンクが壊れ、蒸気が漏れ出す
近くに着火源があれば引火する。この事故は、工場構内を走っていたトラックのエンジンかマフラーが着火源だ。
車両が着火源になると思っている人は少ないからこのようなことが起こる
可燃性ガスが工場内道路に漏れたらすぐに交通止めをするなど、いまは知らない人がほとんどだろう
車のエンジンは着火源と思って欲しい。フォークリフトのエンジンで着火爆発した事故事例も多い
この事故から、企業が学んだことはこうだ。製造プロセス本体だけのリスクセスメントをしていればいいわけではないということだ
製造に伴う廃液処理などの、本工程に付随する処理作業などにも潜在危険性が存在するということを学んだ
「廃」という字がつく設備での事故事例は多い 廃液タンクの火災、爆発、破裂事故だ
「廃」という字は、ハイリスクと思って欲しい

 

2025年08月20日

事故調査報告書の読み取り方

事故調査報告書は誰が作るかによって書き方は変わってくる 大きな事故が起こると、事故調査報告書が作られることとなる
時代とともに誰が事故調査報告書を作るかが変わってきた
確かではないが1990年代までは大きな事故が起こると行政が主体で事故報告書を作成してきた気がする
1997年に、今まで高圧ガス取締法と呼ばれた法律名が、高圧ガス保安法と名前を変えた
国は取り締まるではなく、自主保安と舵を切り替えた。事故や災害を防ぐ主体者は国ではなく、事業者だという考え方の180度転換だ
国が取り締まると言えば、事故が起これば、取締りかたが悪かったのは国だという論理になる
とはいえ、取り締まるには限界がある 技術は絶えず変化し、技術の根底まで管理するのは行政には難しい
国も万能ではないと考えるのも道理である。設備のリスクを知っているのはやはり、国ではなく企業などの事業者なのだという考え方もある
つまり、行政が規制するには限界があるということだ と言う観点から、自主保安という概念が1990年代から浸透し始めた
それを境にして、大きな事故が起きても国は事故報告書を自ら発行しなくなった。
自主保安だから、企業が発行するべきだという考え方が根底にあるからだ
それが本当にいいとは思えないのだが、行政は事故報告書の作成から手を引いた。2003年という年は大きな事故が頻発した
2003.8.29名古屋エクソンモービル油槽所火災 2003.9.26~28出光苫小牧製油所火災
https://tank-accident.blogspot.com/2016/04/2003.html
https://www.shippai.org/fkd/cf/CC0300013.html
など大きな事故はあったがもう、国は事故調査報告書の発行主体者にはなっていない
企業が主体で作り上げた報告書も出されてはいない。事故の本質が見えなくなり始めたのがこの時代だ
その後は、国が事故調査報告書を発行することは無くなった
大きな事故で、企業が第三者委員会という形で事故報告書を発行する形へと変わっていった
従って、事故報告書の書き方は、規制する側の視点から書かれた物ではなくなってきている
企業の視点で書かれていると読み取らなければならない
微妙なニュアンスではあるが、書き方は、規制する側と規制される側と当然の違いがある
規制者であれば、単純に法という視点で書けば良かった。ところが、事故は法を守っていれば起こらないというわけではない
法以上のことをどれだけやっていたかも企業は書かなければいけない
とはいえ事故が起きれば裁判もある 企業は書けないこともあるはずだ
事故報告書を読み取るのがますます難しくなってきている

 

2025年08月16日

自動化をして機能確認をせずに試運転して引き起こした重大事故

企業は生き残るために、省人化する。自動化をして一人でも人を減らそうと努力する
人が減れば、企業の固定費が減るから利益は増える。では、化学産業でどこまで人を切り詰めることができるかだ
自動化が始まったのは1970年代だ。空気式計器から、電子式計器に変わり始め。自動化が可能になり始めたからだ。
1970年代に自動化をしてとんでもない事故が起きている
自動化すれば安心という思いで自動化を進めたようだ
1970年8月14日起こった事故だ
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200016.html
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/10/5/10_253/_pdf/-char/ja
この当時は、自動化すれば安全という思いがあったのかもしれない
装置を改造化して装置を自動運転できるようにした
ところが、反応器の温度が正常に出ず運転に戸惑った。
原因は、反応器の温度計の保護管長さが短くて温度を正常に出せなかったからだ
その後試運転を始めたが、自動化した部分の機能が正常に作動するかはなにも検査しなかった
温度制御と攪拌機は自動で連動して撹拌回数が変わるようにしたのだがそれすら気のチェックもしていなかった
なにも、自動化部分の機能チェックもしないままいきなり試運転を始めた
ところが、温度制御もうまくいかず反応暴走をして爆発死亡事故を起こしてしまったのだ
今では当たり前のことだが、改造工事をすればまず工事が終わるとテストする
単独試運転といって、個別の改造部が正常に機能するかここの検査をする
これがうまくいけば次の工程に移る。総合試運転という段階だ
個別の機能が組み合わさってうまく機能するかをチェックする。これを総合試運転という
単独試運転と総合試運転を組み合わせて検査をして装置が正常に働くか検査するのだ
今では当たり前のような検査が、半世紀前までは行われていなくて事故になったのだ
装置を改造したら、必ず個別の機能毎に正常に作動するか事前確認して欲しい
機械は常に正常にに作動するとは限らない
必ず改造後は機器毎に操作確認をして欲しい。いわゆる単独試運転を確実に行って欲しい

2025年08月10日
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