省エネはいいことだと誰でも思っているだろう。そうはいっても、省エネをすればいろいろな事故が起こる
今回は省エネと事故について話をしていく
化学工場などで、省エネを積極的に始めたのは、今から半世紀前ころだ
配管や機器には、保温材もどんどん取り付けられていった
当時はまだ、石綿の恐ろしさはあまり知られていなかったので、保温材の工事はまだ防塵マスクなどは使われていなかった
素手で保温材などを触っていたこともあった。
その後、石綿公害が問題になり始めたとき保温材を当時取り扱っていた保全担当者の健康診断をしたらやはり異常が見つかった
肺の中に石綿粉塵が入り込んでいたのだ。私の勤めていた企業でも被害に遭った人がいる
その後問題になったのは、保温材の中に雨水がしみ込んで鉄配管の外面腐食が進行する事故だ
高温の配管なら、雨水がしみ込んでもすぐに蒸発してしまいあまり問題にはならない
しかし、温度が低いと盛り込んだ雨水は蒸発しない。水蒸気となり丁度腐食を助長する環境を作ってしまう
数十年前にサンプルデーターを取って調べたことがあったが、100度を前後したところで腐食の進行が多かった
省エネをすればプロセスの温度が変わることがある。
温度が下がるところもあるが、熱回収した部分では逆に温度が上がることもある
化学的な,省エネによる影響は検討するが,機械的な影響は見過ごされることが多い。
配管の温度が上昇すれば、当然フランジの締め付け力への影響が出る。
スタートアップの時、フランジ部の温度上昇に合わせボルトの増し締めをするホットボルテングという作業が行われる。
一回増し締めをすれば良いというわけでは無い。何回かに分けて,増し締めすることもある。
保全担当者にとっては,けっこうノウハウのいる仕事だ。
省エネで温度が変化すれば,このホットボルテングのやり方も変更する必要がある。
ところが省エネによる情報を、保全部門などへ温度の変化を伝えていないと,ボルトの締め付け力が不足して事故になることもある。
過去の事故事例を見ると、世の中でけっこうな頻度で起こっている。
こんな事故事例があるので紹介しておく。このURLを見て欲しい
https://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200056.html
省エネで温度が上昇した部分で、腐食速度が増して事故が起こることもある
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2009-0202.pdf
省エネを甘く見ないで欲しい
