山口県でガス会社の圧力調整機器が故障して、火災事故が発生している。圧力が通常の12倍になっていたという
https://news.tnc.co.jp/news/articles/NID2025120428235
https://www.youtube.com/watch?v=YygUmlJQ2w4
機械が故障してこんな事故になるのは不思議だ。本来なら警報があるはずだ。異常になぜ気づかなかったのだろうか
HAZOPの用語で「シングルフェイラー」という言葉がある。ご存じだろうか?
工場などで異常の早期発見を目的に、計装設備として警報が設置される。異常を早く検知するには警報は有効な手段だ
例えば、タンクなどで圧力が上昇してきたとき、HIレベル警報があれば、異常に早く気づくことができる
つまり、圧力を測る計器を設置して、警報を出し事故の防止を図るのが一般的な事故防止の対策だ。
そうはいっても、圧力計をつけたからと言って安心していいわけではない
もし、圧力計という計器そのものが故障していたら警報は出ずに事故になることも考えなくてはいけない。
つまり、圧力計という計器を1台設置したら事故が防げるかというとそうでは無い。
つまり、計器が一台(シングル)だけしか無ければ、その計器は故障することがあると考えなくてはいけない。
1台だけの計器では、その計器が故障してしまえば、警報が出なくなると考えなくてはいけないのだ。
安全対策用の計器を1台設置しただけでは、計器が故障したときには歯止めとならないことから、これを、シングルフェイラー事故と呼ぶ。
異常を検知する計器が一台、すなわちシングル(一台)では計器の故障を考えると安全対策では不十分だということだ。
では2台つければいいのかというと、当然お金がかかる。どこかで妥協点を見いだす必要がある
例えば、事故になるととんでもない被害が出ると想定されるなら、1つだけ計器の設置では不十分だと考えた方が良い
2つ以上の安全対策が必要になる。被害金額と計器を余分に設置するときのコストを相対的に考えて判断すれば良い
異常時の対応としては、コスト面という観点では、できるだけ安くあげたい。つまり、1つだけの対応で済ましたい。
されど、計器の故障なども考えると1つだけでの対応では十分ではない。
シングルフェイラ-という、考え方はHAZOPの中でも大切な考え方だ。一つだけの対策では、不十分なこともあると言うことだ
タンクなどの液面以上警報として、1台の計器からHI(高)アラームとHI-HI(異常高)アラームを出すのは危険だ。
液面計器そのものが、故障してしまえば、HiとHI-HIアラームの両方が作動しない。計器が故障すれば警報は作動しないからだ。
事故を防ぐには、HI(高)アラームとHI-HI(異常高)アラームを出すのは別々の計器から警報を出すように設計しておかなければならい。
重要な設備に対しては、常に2つ以上の安全対策を考えて欲しい。
一つだけ(シングル)の対策では簡単に破られる。2つ以上の対策も常にHAZOPでは考えて欲しい



