事故や災害に思う
昨日、高圧ガス保安協会が主催する事故の教訓と保安管理技術という事故事例セミナーに行ってきた。
私のブログで6月30日に書いた「今年1月に起きた和歌山の製油所大火災の事故」の説明があるというので興味を持って出かけてみた。
報告書の最終版が公開されているが、一つだけわからないことがあったからだ
http://www.noe.jxtg-group.co.jp/newsrelease_jxtg/2017/20170614_01_1150234.html
この事故は、製油所が数十時間に及ぶ大火災となった事故だ。住民も避難させられた大きな事故だ
なぜあんなに長時間燃え続けたのだろうと思って報告書を読んでみたら一応はその答えが書いてあった。
緊急停止システムはあったが、原料ポンプはそれに組み込まれていなかったと書いてある。つまり、現場でポンプをなんとか停めようと試みたものの火炎などで停められなかったという。
ポンプさえ停められれば、流れ出る油を停められ火炎は一気に抑えることが出来たと思われる
トラブルが起きたときの漏洩防止の基本は、圧力を下げ、温度を下げ、液レベルを下げ流出を停めることだ
今回の事例では、遠隔操作で原料ポンプをすぐに止められなかったことが長時間の火災につながったとも報告書から読み取れた
しかし、なぜ電気室にあるポンプの操作盤のSWを切ってすぐにポンプを停められなかったのだろうとずっと疑問に思っていた。
今回の事故報告会に参加して、その件について質問をした。
答えはこうだった。ポンプは現場で押しボタンを押して起動停止する方式で、計器室からの遠隔停止操作はできない方式だった。いわゆる現場操作型のポンプだ。。
この為、火炎で、ポンプの周りに近づけず現場で停止出来なかったという。
電気室に近づくことは考えたものの、電気室にも火が迫っていて結局電気室でポンプの電源SWを切れなかったという。
この事故の教訓は何かと考えてみると、ポンプを止められなかったことだ。ポンプが停まらないから、配管に開いた穴からいつまでも可燃物が吹きだし長時間火災となったことだ。
電気室がプラントの製造設備の近くにある場合は、このような事態が発生する可能性がある。
古い設備では電気室から現場への電線の長さを短くしようと、極力現場の近くに電気室を設置していたものだ。
火災が起きるととにかく現場に近づけない。電気室も火が迫ってしまえばこのような事態が起こる。
自分のプラントのどこかの配管が破れたら、現場に行かなくても安全に流出を停められるような装置になっているか検証してみて欲しい