不安定物質による事故を防げ

不安定物質とは、なんなのだろうか。安定していない物質だ。
安定しているとは、変化しないということだ。金属にたとえると、金のようなものだ
金などは非常に安定していて錆びることはない。たいていの金属は、空気があれば酸化される。
酸化されると、酸化物になり元の金属から変化する。鉄は、酸化されて酸化鉄に変化する。詰まり錆びるのだ。
鉄という金属は、鉄のまま存在してはいられない。空気で酸化されて変化するから安定ではないと言える。
ナトリウムなどアルカリ金属なども不安定だ。水に入れれば激しく反応する。
化学物質の中でも、熱や衝撃を加えると激しい反応を起こすものがある。
これらは、不安定物質とよばれている。過去不安定物質は、沢山事故を起こしてきている。
1980年代に起きた爆発死亡事故を紹介する。医薬品を製造するときの中間体で5CTという物質が原因だ。
5CTとは5-クロロ-1,2,3-チアジアゾールの略号だ。
不安定物質であったため、試作製造中に熱を加えたことにより爆発事故を起こした。
不安定物質は熱や衝撃が加わると暴走的に反応を起こす。2名が負傷し17人が怪我をする大惨事となった。
事故当時日本ではまだ使われていな物質で性状は余りよく知られていなかった。
海外では既に事故は起きていたが、それを知らずに試作をしていて起きた事故だ。
この事故には、「生産委託」という事故のキーワードがある。爆発を起こしたのは、生産を委託された会社だ。
生産を委託した会社は、海外で事故は起こしているのは知っていたものの、委託先へはその情報を伝えていなかった。
当時、化学産業界では医薬品などの物質はそれほど危険と考えられていなかった。
だから、危険と考えなかったかもしれない。
新しい物質を使う時は、国内の情報だけではなく広く海外の情報まで集めないと危険だということだ。
この事故は、多くの文献があるが下記のURLをまず参照されたい。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/46/6/46_401/_pdf/-char/ja
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0200058.html
この事故も参照されたい
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000129.html

2018年08月20日