なぜ過去の情報が残っていないのか
安全を担当する人なら誰でも、色々な情報源が欲しいはずだ。私も、日々色々な情報源を探している。
先日も、神田の古書店を歩き回った。それでも欲しい情報源となる本は見つからない。
前回のブログでも日本の化学産業が多くの事故を経験しているのだから、当然情報を持っていると話しはしたが、そう簡単に情報を手に入れることは難しい。
私も、会社に勤めていたとき、創業以来の約百年の事故や災害の情報を調べてみることを試みた。
でも、残念ながらほとんどの情報は消滅していることがわかった。
確か、1980年代だったと思うが企業では3Sだとか5Sだとか言う活動がはやった。TQC活動なども同時に行われていた時代だ。
不要な書類を捨てろという企業活動として進められた。書類は半分にしろなどの通達も出された。整理整頓を進める活動である。
本当に不要な物なら捨ててもいいのだが、その企業活動で作成した資料は捨ててはまずい物が沢山あった。
会社の命令で書類を半分にせよなど言われれば従わざるを得ない。この結果、多くの書類が意味も無く捨てられた。事故や災害の記録も、古い物は不要書類として捨てられた。古い物は不要だと判断されたのだ。
当時は、今のようにイメージスキャナーも無い時代だったから、電子情報として記録に残すこともできなかった。
今でも残念に思うが過去には戻れない。こんな結果、多くの紙媒体は捨てられてしまった。
同じような事故は、時間が経てば繰り返し起こる。人は、時間が経てば過去のことは忘れるからだ。
過去の情報も大切にして欲しい。次の世代に伝えなければ、過去の失敗は生きないからだ。
埋もれている情報も発掘して伝えて欲しい。