昨年12月に起きた粉塵爆発の事故報告書が出る

昨年12月富士山の裾野にある富士市で粉塵爆発が起こったのを覚えているだろうか。荒川化学という企業の富士工場だ。
この業界では老舗で、1976年から爆発事故をおこした製品は作っていたという
今回の事故だ、死者2名、重傷2名、軽傷11名の大惨事となった。
しかし、製造を開始してから約40年間大きな事故は無かったという。
事故から約1年が経った、11月20日に、この企業から事故報告書が発行された。
http://www.arakawachem.co.jp/jp/ir/document/news/20181120fuji7.pdf
事故報告書によると事故はこのようにして起きたという。
印刷インキ用樹脂を製造していた。固形樹脂を粉砕後フレコンと呼ばれる袋に粉状にして投入していたときに内部で静電気による放電が起きたのがきっかけという。袋の中で最初の粉塵爆発は起きた。
これで、収まればこれほどの大事故にはならなかった。
粉塵爆発は怖いのが、最初の爆発が引き金となって次から次へと誘爆していくことだ。
フレコンと投入口は密閉構造では無かった為、炎は、投入口の近くにあった、粉塵除去用のダクトの中に吸い込まれていったようだ。
ダクトの中は清掃していなかったことから、当然粉塵は溜まっていた。
それにも火がつき、ダクト内で大きな粉塵爆発を起こした。
ダクトの出口から出た、爆風は室内のダクトの上などに溜まっていた分字を更に巻き上げ更なる粉塵爆発の連鎖を起こしたようだ。
最後は、室内に保管していた化学薬品に火がつき薬品火災も起こしてあのような大爆発となってしまったと書かれている。
報告書では、企業は粉塵爆発の危険性を感じていなかったとある。
しかし、粉を長年取り扱ってきている企業なのだから粉塵爆発にはかなり注意をしていたはずだ。
1986/4/23日にこの企業で岡山工場でサイロに製品を入れるときに粉塵爆発を起こしている、
事故を一度も経験しなかったわけでは無い。
何十年も大きな事故が無かったいうのが、危険の感受性を落としてしまったのだろう。

事故が起こらないと言うことは良いことなのだが、危険の感受性は落ちていく。
安全成績優秀な企業が危険の感受性を維持して行くことは難しい。

2018年12月02日