たかが水と思うな その2

前回たかが水と思うなという話をした。
気密テスト時、水道水を使い事故になった事例を紹介した。
水道水中の塩素が、金属の応力腐食割れにつながった事故だ。
水に関わる事故事例をもう一つ紹介しておく。
「工業用水」を装置の洗浄に使ったことにより起きた事故事例だ。
配管洗浄に使用した工業用水の「塩素濃度が高かった」ことにより、応力腐食割れが起こった事故だ。
事故が起こった製油所の反応器では、定修時に薬液により中和洗浄が行われていた。
薬液による洗浄が終わった後、薬液を洗い流すために工業用水を使っていた。
本来なら、完全に工業用水が抜け出るはずだったが脱液で完全に抜けなかった部分が有り
運転開始後の高温により工業用水中の塩素が濃縮され、応力腐食割れを起こした事例だ。
薬液の希釈に使用した工業用水の塩素濃度が元々20-30PPMと高かった上、脱液に使った工業用水が
完全に抜けきらず系内に残ってしまったのが事故につながった。
工業用水で洗浄した設備は、高温であったことから塩素分で応力腐食割れを起こしてしまった事故だ。
塩素分の高い工業用水を使ったことが要因だが、洗浄時液が抜けない部分が存在していたことも要因だ。
事故後の再発防止に向け、洗浄には純水を使用することにしたという。
ステンレスを使う高温系では、塩素による応力腐食割れには注意して欲しい。
失敗百選に詳細情報があるので見て欲しい
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000162.html
石油連盟などが運営している事故事例情報データーベースにも情報がある
http://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00053.pdf
たかが水と思わないで欲しい。

2018年12月10日