事故文献、書籍等紹介
ヒューマンエラーに関心を持つ人にお勧めしたい書籍を紹介する。今から30年くらい前、まだ現役で企業に勤めていたとき、管理職になったときに思ったのがマネージメントは何かという疑問だ。マネージメントという言葉は、日本語では管理という言葉になる。日本語の管理とは、どちらかというと決められたことを決められた手段で従わせるという意味合いにとられれる。つまり、自分の思っていることを部下にどう伝えて実行してもらうかという気持ちが、マネージメントだった。
つまり、命令することがマネージメントという概念が当時の考え方であったが、人は自分の意図した通りには動かないだろうと言うことも感じていた。そんな思いもあり、マネージメントとは人の心を柔軟に読んで一つの目標に向かってともに仕事を進めていくことだと考えを変えた時期があった。人の心理や思いが理解できないでマネージメントは難しいと感じたのだ。
そのとき、興味を持ったのが心理学だ。世の中、存在するのは人と機械だ。人でできないことは機械でやらせる。でも、機械を操るのは人だ。そうは言っても人は一人で何かをしているわけでは無く、組織という大きな人の集団だ。工学的な知識を持つ以前に、人に関する知識を持たなければ社会で物を考えることは難しいと考え始めたのが今から30年前だ。
遠回しの文章になったが、当時興味を持ったのが黒田勲という人だ。自衛隊の戦闘機のパイロットの身体的な医学管理と心身のスペシャリストだ。パイロットは選び抜かれた集団だ。心と体の頂点を極めたモノが選ばれる。最高の人材を選ぶ仕事に就いていた人だ。心と肉体をベストに保たれた人間とは何なのだろうかいつも気にかけていた。あるとき、この黒田さんの書いた書籍を読んでみた。すごく理知的に人を解説していたのだ。心理的なものをじつにわかりやすく解説していた。
以後、黒田さんの著書は読んできたが、最近またその著書を読む機会があった。著書名は「信じられないミス」はなぜ起こる。発行所は中央災害防止協議会だ。900円の単行本だ・
ヒューマンエラ-というのは、永遠の課題だが目先だけ解決出来る問題では無い。時代が変われば、手の打ち方も変えなければならない。でも、本質的に打つべき対策は不変だ。この不変となるもの、時代の変遷を考えとるべきことをうまく書き表してくれたのがこの書籍だと思う。
ヒューマンエラーの個別的対策を教えてくれる書籍ではないが、一度は読んでおいて損は無い本だ。