粉塵爆発と粉の性状

粉じん爆発については何回かブログに書いてきている。講演で粉塵爆発について話をしたとき、粉の粒径について聞かれる。
粉が細かくなればなるほど表面積は大きくなるから、爆発の可能性は大きくなるからだ。
たとえ話として、小麦粉くらいの粉であれば条件によっては粉塵爆発を起こすと答えている。
過去にも、製粉工場で大きな爆発が起きているからだ。ネットで探してもかなりの事故が起きていることがわかる。
粒径に関しては、一般的には、平均粒径が400~500ミクロン以下になれば、爆発する可能性が出てくると言われている。
平均粒径という言葉に注意して欲しい。平均であるから、小さな粒径の分布も考えなければいけない。
粒径の小さい粉は、より爆発しやすいからだ。
粒子の形状にも注意が必要だ。表面積が爆発燃焼の起こり易さに関係するからだ。
つまり、空気と接触する面積が大きければ大きいほど燃焼しやすくなる。
たとえば、粉の製造方法を変えたことで粒子の形状が極端に変化したら注意が必要だ。
粉の製造方法や粉の購入先を変更したときには、粉じん爆発特性を評価し直しておく必要がある。
粉の成分も爆発のしやすさと関係する。
粉じん爆発の原理上、可燃性揮発分が多く含まれている粉ほど、爆発しやすくなる。
その割合は、粉の種類や揮発分の種類によって大きく違ってくるが、文献によると、1~10%以上といったところだ。
一方、水分は燃焼を抑制する効果があるので、多く含まれているほど爆発しにくくなる。
粉などの種類などによって、爆発しにくくなる割合は大きく違ってくる。
目安としては、水分で10~40%以上といったところだ。
とにかく、粒径だけで安全だと考えないで欲しい。
物質の性状によっても決まってくるからだ。
粉を扱うなら、粉の安全性については専門機関できちんと事前に検証しておいて欲しい。
事故が起きてからの後始末にかかる費用よりよっぽど安いはずだ。

2019年04月12日