設備管理とは
設備管理とは何なのだろうか。設備を管理することと言ってしまえばそれでおしましだ。
化学プラントという観点で、管理という言葉をもう少し深掘りしてみたい。
化学プラントの設備は、順調に稼働していれば事故は起きない。
しかし、故障というものが事故の引き金になると言うことがある。
突然故障することが、運転の安定性を損なうことになる。
今から半世紀前の化学プラントでは、装置が故障してから修理するのが当たり前だった。
つまり、無駄な費用をかけずに使えるだけ使えということだ。
専門用語で言うと、事後保全(故障が起きてから修理すること)という設備の維持管理方式だった。
この為、突然故障が起きて事故になり、人が事故に巻き込まれることが多かった。
それではいけないという考え方が起こってきて、故障が起こる前に点検をして修理するという考え方が取られるようになってきた。
専門用語で言うと、予防保全という言葉になる。
原子力発電所などでは、設備の故障が起こると大事故になるのでだいぶ前から採用してきた設備管理方式だ。
この方式を採用するようになって、化学プラントでも運転中に機械が故障する頻度が減っていった。
いわゆる安定的な運転ができるようになったのだ。
予防保全というのは、そろそろ機械が壊れそうだなと感じて壊れる前に手を打つのだがそこがなかなか難しい。
早め早めに点検をしてもいいが、余り早すぎると当然余分なコストもかかる。
つまり、この点検時期をいつにするかの判断が難しい。
点検時期を決めるために、過去の点検記録をきちんと整備して、それらを用いて解析できる体制ができていなければならないからだ。
1990年代後半に登場した、パソコンというのがこの記録の保存や、解析ににすこぶる役に立ち始めた。
結果として、1990年代後半から予防保全という体制が企業で積極的に進められた。
いまや、コンピューターが設備管理にも重要な役割を果たしてきている。
さて、本題に戻すが設備管理とはどう考えれば良いのだろう。
設備の信頼性と、設備の維持管理コストのバランスを取ることなのだろう。
維持管理しながらの話ではあるが、設備は数十年使える。
このライフサイクルの中で、安全と維持管理コストのバランスをとることが設備管理ではないのだろうか。