技術伝承

今日、高圧ガス保安協会が開催した非定常HAZOPをテーマとする講習会に参加してみた。最近の事故を鑑みても、非定常が事故のキーワードになっているから、時代の趨勢とは合っているテーマとは感じている。

 話を聞いてみると、バッチプロセスHAZOPの手法を使い少し手を加えたものだ。HAZOPには従来から、連続プロセス用と、バッチ用と存在するが、バッチプロセスHAZOPはまさに非定常作業向けのHAZOPとして適しているといってもいいたぐいのものだ。

 つまり、プラントを立ち上げたり、止めるのはまさに非定常作業であり、言われてみればそう言うことなんだと感じた。更に緊急停止のHAZOPを付け加え説明していた。これも、バッチプロセスを利用したもので、緊急に停止するという手順でのリスクを拾い出す手法に置き換えたものだ。

 つまり、非定常HAZOPの手法としてはバッチプロセスの従来使われてきたものをうまく利用したというのが実感だ。今回の講習では、手法の説明で終わっていたが、皆が求めているのは手法では無い。HAZOPでは、解析時の発散や時間のかかりすぎを避けるため、複数の故障やトラブル条件が同時に発生することを想定していないが、現実の事故では複数のハザードが同時又は時間差で起こり事故になる。

 事故は、一つの原因で起こるわけでは無いという現実がありながら、HAZOPではシングルフェイラーで検討を進めるという矛盾がある。

 また、ハザードが見えていないのに、HAZOPで解析作業をさせても限界がある。

化学プラントで起こった過去の数千という事故事例から、HAZOP的に考えた場合どんなハザードを見落として事故になったのか、何が教訓だったのかをまず、教育してから非定常HAZOP教育へと導かないといけないのだろう。

 今回の講習を聞かせてもらって考えた。私の持っている数千件の事故事例から、「緊急停止」、「スタート」、「停止」を切り口に何を危険源として見落としたことにより事故になったのか、あらいざらい探しだしてみたい。

 さらに、機器の種類毎や単位動作という切り口で、失敗を整理することなのだろう・HAZOPのノードという概念はユニットで考えることがいいのだろう。つまり、ポンプなら予備機への切替えという非定常操作。予備機への緊急切替え。つまり、緊急か通常の立ち上げか停止かで違いを見ればいいのであろう。

 私の知る数千件の過去の事故事例から、HAZOPで見落としがちなHAZARDという今後は講演をしていきたいと考えた一日だった。

2016年06月30日