なぜ事故が起こるのか
タンクの側板や天板などで火気工事することがある。タンクの上に、計器などを新設すると電線管用のサポートをタンクの側板などに溶接して取り付けるケースだ。当然、火気工事であれば養生が必要だ。可燃物のタンクであれば、液を抜きパージまではするだろう。これで、安心してしまう。
安全を配慮し脱液をしていても、火気工事を始めて、しばらくしてタンクの中から煙が出始めてしばらくして爆発したという事例がけっこうあるのだ。
盲点は何かというと、「工事の場所はタンクの外側」だからという安心感なのだ。外側だから事故は起きないと思い込んでしまうからだ。タンクの外側の工事だから、タンク内部で何かが起きるはずが無いと思い込んでしまってはいけないのだ。タンクの外側の火気工事であっても、溶接などの熱は千度近くもあるはずだから、内部へ伝熱して伝わると思わなければいけないのだ。現実タンク内の金属板の表面温度は数百度にもなる。
タンク内の液を脱液したといっても、タンク内部は洗浄しているわけでは無いから油分がこびりついていることがある。これが、熱せられて低沸点物の可燃性ガスがタンク内に充満していくことがある。時間が経てばガス濃度は増していくから、爆発混合気がタンク内部にできてしまうのだ。
溶接の伝熱で着火温度以上になってしまえば、あっという間に着火爆発という事態に発展してしまう。
爆発まではいかないにせよ小火や火災はかなりの事例がある。インターネットで「室蘭製油所№242タンク火災事故」というキーワードで探してもらえば、ある火災事例の報告書を見ることができるので参照してみて欲しい。
タンクの事故事例を紹介したが、金属製の排気ダクトなどでも外側で溶接などをしていると同様の事故は起きる。ダクトの内側に油スラッジなどが付着していることがあるからだ。