石綿が使用禁止になったことによるガスケット事故
法令でガスケットに石綿が使用できなくなったのは2007年9月からだ
それでも、代替の難しい物は2011年3月迄猶予されていた
たとえば300度以上の温度の高いところに使われるガスケットや酸性雰囲気で400度を超える物などだ
弁などに使われるグランドパッキンも使用条件が過酷な物は同様に、2011年3月まで石綿の使用製造が猶予されていた
この時期以降、石綿を使わないガスケットの変更が各工場で行われていった
石綿は非常に優れた鉱物資源で、産業用に使われる材料としては高温高圧にも耐える便利な物だった
温度や環境条件が悪いところで使われるガスケットの石綿使用が猶予されたのは、同等の代替品の製造が難しかったからだ
2018年5月8日の私のブログでも、ガスケットの変更での事故事例を紹介しているのでそちらも見て欲しい
http://handa.jpn.org/1/posts/post134.html
先日、非石綿化したガスケット関係の事故事例を調査していたらこんな情報があったので紹介しておく
1件目は、2014.5月に川崎で起きている事故だ
2006年に非石綿のガスケットに交換した。石綿と同等品に交換はした物の、実液でテストはしたが問題が無かった
交換してから、約8年後反応器の上部マンホールのガスケットが破れ漏洩したという
原因は、反応器の上部はガス系でガスケットにガスが浸透しやすかったからだという
反応器下部のマンホールなどは、同一材質だが異常は無かったという。
液相だから、ガス分は含まれておらず問題が無かったと報告書には記載されていた
もう一つ、実液ではテストはしたが常温常圧であり、実際のプロセスのように温度や圧力を上げた条件ではなかったことだ
過酷なプロセスでは、実プロセスと同様の条件で実液確認も必要だと言うことかもしれない
もう一つの事故は、2015年8月にやはり川崎で起きた事故だ
やはり、反応器の上部マンホールのガスケットが膨潤した事故だ
非石綿のガスケットに交換する際、浸透性の少ないガスケットにすべきなのに、一般用のガスケットを選定していた
結果として、やはりガス成分がガスケット内に浸透して膨潤したという
ガスケットを変更するのは、変更管理の対象と考えて慎重に行って欲しい