なぜ事故が起こるのか
設計管理で管理すべきことは2つある。プロセスや機械設備の設計であれば,「工学的な要件」を十分満足していることである。使用される温度や圧力などに耐えうる強度の材質選定や構造設計が求められる。もう一つの要件は,機械の故障や人のミスに配慮した設計になっているかだ。
設備は必ず故障する。また、人が使うのであるからかならず,人に配慮した設計が求められる。
設備の故障やヒューマンエラーに対して本質的な安全設計を考える時に大切なのがフェイルセーフとフールプルーフだ。
フェイルセーフとは,人がミスをしても安全な方向に動作する仕掛けだ。化学プラントにある自動調節弁は,電気や空気が無くなっだ場合必ず安全な方向に動くように設計されている。冷却水の弁なら,冷却動作が継続して行われるように弁は開くように設計されている。
フールプルーフは故障が起こっても致命的な事故につながらないような設計だ。
鉄道に設置されている遮断機は,停電などが起これば必ず閉まる方向に設計されている。電車の扉もいつもは閉まっている状態である。
空気などのエネルギー加えると空く仕掛けになっている。つまり、空気や電気が無ければ,閉まった状態になるように基本設計がなされている。
このように,設計面で事故を起こさない為には,故障や人のミスに対して本質的に安全な設計を行うことである。
しかし、現実は工学的な配慮はなされても,設備の故障や人への配慮は十分ではないから事故が起きてしまうのだ。