逆流というリスクと事故事例 その-1

化学プラントなどを運転していると「逆流」というリスクが存在する
HAZOPなどの安全性評価でも、逆流というリスクを見落とすと後で思わぬ事故に遭う
逆流とは、流れに関するリスクに見えるが、むしろ圧力という観点から見ておいた方が良い
つまり圧力に差が生じるところであれば、圧力の高いところから、低いところへ物は流れる
ポンプや圧縮機は、圧力を上昇させて流す機械だ
順調に動いているときは、逆流しない
しかし、停電で急に止まったり、停止操作を間違えれば逆流をひきおこす
過去にも、ポンプの停止操作などで逆流を引き起こし事故になっている事例は多い
ポンプを停めるというのは、単純に停めればいいというものでは無い
特に高圧ポンプであれば、逆流しないようにゆっくりと停めていく必要がある
岡山県で起きた、ポンプ停止に失敗して逆流が起き爆発したこんな事故事例がある
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000135.html
吐出圧が19MPaもある高圧のポンプの停止操作に失敗した事故だ
逆流した流体が、ポンプの吸入側にあったタンクに入り込みタンクが破裂した事故だ
運転員の技量不足もあるが、逆止弁が作動しなかったことも原因だ
逆流を停める、緊急遮断弁は設置されていたが、運転員が逆流に気づいていなかったのも事故につながった
長期連続運転が、可能になった最近は運転員がポンプを止めたりする機会はますます減ってきているはずだ
経験不足の運転員が、逆流事故を起こす可能性は増えているのではないだろうか
逆止弁がついているから安全というわけではない
逆止弁は点検しなければ、故障していることもある
逆流で重大な事故が起こるプロセスでは、逆流時の自動インターロックなど
人に頼りすぎない安全対策を進めることも考えて欲しい

2019年09月28日