研究所での解体事故

ブログの読者には、研究関係の人達も多いと思うので今回は研究所の設備の解体撤去時の事故事例を紹介する
ドラフトチャンバーの排気ダクトを解体中に起こった爆発事故だ
撤去前に、そのドラフトチャンバーは長期間硫酸、硝酸、過塩素酸などの物質を使っていた
協力会社が解体工事を始めたところ、変な臭いがした
排気ダクトや、木材にしみ込んでいた薬剤が気化して臭いを放ったようだ
その為、しばらく工事は中断した
臭いも収まり、FRP製の排気ダクトをサンダーで切断し始めたところ突然爆発した
原因は、FRPを切断し始めたとき粉塵が発生して粉塵爆発が起きたことだ
FRPには、過塩素酸という爆発性の物質も付着していたため着火爆発したという
過塩素酸は、不安定物質で有機物などと一緒に加熱すると爆発する物質だ
発注者側は、物質危険性を甘く見ていたようだ
とはいえ、工事は手作業でと指示は出していたので、少しは危険性は感じていたようだ
解体工事というものは、全て手作業というわけにはいかない
結局、ダクトの切断時にサンダーを使ったことで粉塵が発生し、しかも過塩素酸という薬品も付着していたことから着火爆発した
研究所で薬品やダストが蓄積した設備の解体工事は難しい
事故後、工事を再開したが対策はこうだ
まず水で徹底的に濡らした
ガスの発生を早期に知るため、ガス検知を強化したことだ
解体工事などは、休日に行われることが多い
この事故も休日だった
この為発注者側の幹部社員も立ち会いをしておらず、最初に変な臭いが発生したときの対応も十分でなかったのも要因だ
研究所での解体工事は、物性に詳しい当事者の立ち会いが不可欠だ

2019年10月25日