ポンプの空引きが引き起こす事故

先日、講演をした折りに事故の話がでた
事故を経験した当事者からの話だった
スタート時ポンプから液を送っていたときに、突然ポンプが空引きでキャビテーション現象が起こった事故だ
私は、この事故はまだサラリーマン時代だったときで、事故の情報は知っていた
事故の概要はこうだ
スタート時、タンクから液をポンプで送り出していた
液面低下の警報は鳴ったが気づかなかった
当然、タンク内の液が無くなり、あっというまにポンプは空引き状態となった
しばらくして、タンク側に向けて液が逆流した
ポンプ出口側には逆止弁は設置されておらず
逆流した液が、タンクに入り込んだ
タンクは、開放型で液が溢れ出て室内に漏れ出した
液は可燃性ガスを含んでおり
しばらくして何らかの原因で着火火災となった事故だ
空引きによるキャビテーションが原因で逆流によるものだ
タンクから液を送り出すときは、在液量をしっかり管理して欲しい
タンクに液面低下警報があるから大丈夫だと思い込まないで欲しい
ポンプの空引きが重大な事故を起こすことがあるからだ
スタート時のように、忙しくてうるさいときには警報を見逃すこともあるとHAZOPでは考えて欲しい

事故の原因と対策が詳細に書かれた報告書があるので参考にして欲しい
https://www.khk.or.jp/Portals/0/resources/activities/incident_investigation/hpg_incident/pdf/2014-211.pdf
HAZOPとして、この事故の教訓は「循環系のタンク」ということもポイントだ
循環系は、どこかバルブを閉めたり、ポンプが停まればバランスがくずれ途中のタンクが空になるリスクが高いと言うことだ
循環ラインにも着目して欲しい

2019年11月17日