製油所で火災 その-2 約30年前の事故の教訓

前回のブログで、川崎の製油所での火災情報を伝えた
今日の,ニュース記事を見ていたら1991年にも出火したとの記載があった
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191224-00000018-kana-l14
今回出火した、重質油熱分解装置での約30年前に事故があったのは事実だ 死亡事故でもある
今回の,事故の原因はわからないが,1991年の事故には多くの教訓があるので紹介しておきたい
事故は,運転中に配管が腐食して漏れているのを見つけたことが発端だ
本来なら,運転を止めて補修するのが安全なのだが、運転を止めずに補修する方法を選択した
工事の方法は,腐食している配管の周りに太い配管を溶接して,覆いを被してしまう方法だ
ボックスイン工法と呼ばれる手法だ リークボックス溶接とも呼ばれる
http://www.shippai.org/fkd/mf/MC0000151_02.jpg
http://www-it.jwes.or.jp/technology/images/cp2_table2.pdf
この工法は,溶接という火を使うのだから着火が問題となる
穴の開いた部分には,水を流すか内部流体を水に置き換えることが必要になる
しかし,溶接というのは金属を溶かして行うわけだからリスクがある
特に、溶接は何度も何度も同じ箇所を溶接すると金属がもろくなって割れるという性質がある
割れれば,大量に内部の液が噴き出してくる
この事故も、溶接時間が長すぎて金属が割れ大量の水と可燃物が噴き出し火災になった事故だ
http://www.shippai.org/fkd/cf/CC0000151.html
事故の原因は一つだけでは無い
もともと建設段階で材質を間違えていたのだ 本来ステンレスなのに鉄で工事をしていた
腐食性の流体が流れるところに,鉄を使っていたのだから腐食して穴が開くわけだ
http://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00036.pdf
http://www.pecj.or.jp/japanese/safer/case_list/pdf/accident_00036_s.pdf
もう一つの原因として,局部電池現象がある
鉄とステンレスという二つの金属が存在したことにより電池が出来電流の流れにより金属が溶けたのだ
局部電池現象というものも知っていて欲しい
この事故には多くの教訓がある
特に考えて欲しいのは運転中の火気工事を甘く見るなと言うことだ
工事はいつもうまくいくとは限らないからだ

2019年12月26日