事故や災害に思う
先日、今まで調査してきた化学プラントなどの事故や災害の数を調べてみたら3700件を越えていた。事故や災害について、関心を持ち始めたのは、今から15年前のことだ。下関にある工場で、爆発事故を経験して「なぜ事故が起きるのか」を考え始めてからだ。
そのころから、こつこつと書籍、事故調査報告書、公開されているインターネット情報を参考に「なぜ事故が起こるのか」について研究をしてきた。
今から、6年前の2010年に調査してきた資料をデーターベース化する作業を始めてみたところ、同じような事故が、繰り返し起こっていることがはっきりわかってきた。それらを並べてみると、共通の要因がある。すなわち事故からの教訓と呼ばれるものだ。
事故から学ぶことは、事故の事実ではない。事故の原因や再発防止策から抽出した教訓だという考えに基づき、教訓を集めることに力点をおいて今まで作業を進めてきた。つまり、事故を防ぐための普遍的な知恵だ。
今から、3年前にやっと「なぜ事故が起こるのか」の考え方を集大成し、岡山県の倉敷で2日間講座を立ち上げた。昨年には、第二段階として「リスクマネージメントという」切り口で教訓を整理した2日間講座を立ち上げ、京葉コンビナート地区で講義を始めることにした。今年は、要望を受け岡山県の倉敷地区でも講義を行うことにした。
リスクマネージメントは、事故を未然に防ぐ有効な手段であるが。手法だけを学んでも効果的に化学プラントに存在する危険源を見つける能力が身に付くわけではない。つまり、設計段階でのリスクの見落としや評価の失敗事例。安全性評価の段階でリスク評価で抜け易いこと。運転管理で管理すべきリスクは何か、過去どんなリスクマネージメントで失敗事例などがあるかなど各管理項目毎にリスク管理の失敗事例を実際の事故事例から学んでおくことが必要だからだ。
そろそろ、講義内容を書籍化してより多くの人に知らせたいと思っている。少しでも、化学プラントで事故が起こらないように自分の知っていることは伝承していきたいと思う今日この頃である。